千々石休み8「極上の昼寝」

ゆとりある記

散歩から戻って、昨晩の馬場さん差し入れの料理の残りを食べて、お昼寝です。実は、こういう畳の部屋で昼寝をするのが夢でした。ガラス戸をあけ放って、入ってくる風とセミの声が子守唄。マットレスに転がったとたん、とろけるように眠ります。

2時間ぐらい寝たのでしょうか、庭の向こうの道を何か笑いながら歩く子供の声がします。夫はまだバク睡中。起き上がって外の田んぼの緑を見ていたら「そうだスイカだ」と思いつきました。昨日誰かが用意してくれた、小ぶりのスイカが冷えているのです。縁側に用意しました。

シャクリ!とカブリついて、種を庭に「フッ、フッ」。縁側でぶらぶらさせている私の足の甲に種がのったりして、それをまた足を振って落としたり。昼寝のあとの“おめざ”のスイカ。子供の頃のままの、この一連のコースをしたかったのです。

廊下の板の上に、スイカの汁がぼとぼと落ちる。ほきたした種にすぐ、蟻んこがたかる。その蟻んこに向けてまた種を飛ばす。ああおもしろい、ああ懐かしい。起きてきた夫も「フッ、フッ」。

昼寝とスイカで元気復活です。「まだおやつはいるね」「うん」、サンダルをつっかけて出かけたのがトコロテン屋さん。正確にいえばトコロテンとラムネ屋。湧き水のある横の小屋のような店が、夏場だけ店になります。

湧き水でこしらえたトコロテンを、湧き水で冷やします。作業場を見れば昔ながらの道具、天草を煮て、ハンドルを回す搾り機でこして、木の枠に流しています。おいしくないわけがありません。

辛子でなくもちろん柚子コショウ、暴れるほどコシのあるトコロテンにはちゃんと海草の味があります。夫の飲むラムネのビー玉が、いい音を立てました。