紀州百匠隊

ゆとりある記

農作業体験で生産の喜びや苦労を知りながら、都市と農村の人が交流する。そんな活動が全国で盛んです。

その一つに参加しました。「匠」という字を名前に使う辺りに、この団体のこだわりが感じられます。

主な活動は、不耕起の田んぼで酒米を作り、日本酒を造ること。果樹栽培やグルメ体験も。

作業はしんどいのですが、参加者同士のおしゃべりが楽しい実りある時間でした。紀の川市で。

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田植えをしたのは6月25日のこと。これまでに普通の水をはった田んぼで田植えはしたことがありますが、耕さない土にそのまま植えるのは初めてです。

今回は普通の水の入った田んぼもやるとのこと。期待感は高まりました。


こんな図が貼られているのが、今風の農耕体験です。


ポップもおしゃれ。今は農の世界でも、地域おこしでもこうしたデザイン力が欠かせません。


昨年のお米でできたお酒も持ち込まれていました。田植えが終わった後の直会用。その名も「自然農」、無農薬で手作りで作ったお米で作ったお酒。

毎年、米の出来が違うので、毎年、お酒の味も変わるのだそうです。

「紀州百匠隊」「自然農」についてhttp://www.aemon.co.jp/projects/nihonsyu.html


日焼けどめを塗って、位置について~。GO!


固い湿った土、草もびっしり生えているところに稲を植える、不思議な田植え。細い竹を斜めに切ったものを土に刺し、穴をあけ、そこに苗を3本ずつ植えていきます。

2人ペアを組んで、だんだん後ろに下がっていって。2時間ほどでここまで!

達成感はありますが、何より驚いたのは虫の数。農薬を使っていない土とはこうなるのでしょうか?

名も知らない小さな虫が、軍手に、服に土とともにびっしりうごめいています。逆に、これをすべて殺してしまう薬というのは、そうとうに強いのだろうと思いました。

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さて、田植えから3週間経った7月16日、今度は草刈りがありました。


先回もそうなのですが、この活動にはいろいろな人が集まっています。

神戸や西宮から朝4時半に出発して来た、とか。大阪から姉妹でやって来た、とか。母娘で、和歌山から毎月、とか。もちろん、男性1人で、女性1人でぶらりと、という方も。

この活動に5000円の年会費を払えば、毎月の何かしらの活動に参加できる、そしてお酒もいただけるという仕組み。

とても安上がりなレジャー?です。

この日も、草刈に早朝から人が集まっていました。「農作業」には、人それぞれが感じる多様な魅力があるのでしょうね。

草刈りですから、基本、稲の周りの草を抜かなければ、刈らなければいけません。

でも?!どれが草?どれが稲?状態。

「これって、どっちだろう?草かなあ~?」そんなおぼつかない草刈隊です。


私、やってしまいました。よく見ていたつもりですが、これは明らかに稲。ごめんなさーい。せっかくここまで伸びていたのに・・・。

本当の農家さんもいます。「いいよいいよ、そのくらい」と笑い飛ばしてくれました。


炎天下です、お休みテントにしょっちゅう行かないと、もちません。

ここで「汗がすごい」だの、「長靴暑い」だの、「少し曇ってくれないかね」など、たわいない話。

知らない人同士が、距離感を保ちながら、さらりとした付き合いで作業を楽しんでいる。これがなんだかいいのです。


水辺にはかわいい花が咲く。


トンボも静かに見守っている。


きゃ~、ジャンボタニシの卵。これはイカン!


草刈りの後はごほうび時間。「紀州百匠隊」の言い出しっぺのお一人「かたやま農園」にお邪魔して、片山 篤さんの桃語りを聞きます。

ここは超低農薬。桃は農薬をたくさん使うことで知られます、つまり低農薬というのは本当に難しい。

苦労もあるけれども、できた桃は本当に美味しくて安全です。

かたやま農園 http://katayama-farm.com/?page_id=23

5月に軽く農薬を撒いたっきり、という安全桃。だから、産毛を洗って皮ごとガブリです。

静かな農園に、「ガブリ、ジュワー!」という、桃丸かじりの音が響きます。皆が無言で、桃にうっとりしている・・・。

疲れた身体に、長寿の象徴といわれる桃の生気が滲みていきます。


甘い飲み物をかぶりついて飲んでいる感じ。木で熟した桃がこんなにおいしいものとは・・・。

普通は、消費者が買う頃に柔らかくなるように固いうちに収穫し出荷する。しかも綺麗にできるように、農薬は欠かせない。

ここのは、木から食べごろの物をもいでいただくのですから、本当の桃の味。そりゃおいしいですよね。


いい時間を過ごした後の笑顔。お酒の完成まで、また何度かお会いしながら、おしゃべりしながら、よろしくおねがいしますね。"