美しい富岡

ちょっとしたこと

世界遺産富岡製糸場については先日書きました。ここだけで帰る人が多いのですが、これはもったいない!市内には、特色ある神社や、素晴らしい眺望ポイントがあります。

もともと観光地ではなかったので、俗化されていません。邪魔な看板や、土産物屋などがない。素朴で、空いていて、清らかに美しいのです。市周辺にある明治の偉人の志の遺跡も然り。こっそり訪れたいところです。
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富岡と言えば蚕です。蚕と言えば桑の葉です。こんなにキラキラ光って茂っている、蚕でなくともむしゃむしゃ食べたくなりますね。健康にいいでしょうね。そう、桑の葉茶なども今ブームです。


これが、お蚕様です。虫嫌いの方はダメでしょうが、私は平気。むしろ飼いたいくらい、白くてむちむちしていてかわいいし、きれいです。


田島弥平旧宅。さっきの桑は、ここの近くに植えてあり、蚕はこの旧宅の案内所で見せていただきました。ここは富岡でなく伊勢崎市ですが、ここも絹産業遺産群のひとつとして世界遺産です。

田島さんは、蚕をそれまでの暖かくぬくぬくと飼うやり方から、屋根に換気用の越屋根をつけ、風通しの良い涼しい飼い方「清涼育」にして、病気のない卵を作り、輸出しました。ここのお家はまだお住まいです。門の外に咲く真赤なポピーが、先人の熱い想いを象徴しているようでした。


ここも富岡市ではなく藤岡市、世界遺産に入っている高山社跡です。田島さんの後、ここの高山長五郎は飼育部屋を小分けにして、通気と温湿度管理をしやすくしました。したがって、屋根の上の換気用の越屋根もいくつかになります。寒かったら温め、熱かったら涼しくして、「清温育」というやり方を考えました。

そして、「高山社」の名で、養蚕の学校を作ります。今も残るこの建物は実習室、全国からここに学びに来たそうです。

生糸の大量生産を実現した昔の人の、力、執念に打ちのめされそうになりながら、訪れたのが「貫前(ぬきさし)神社」。もちろん世界遺産ではありませんが、こんなところにこんないい建物が?と思ってしまいます。参道の急坂は左右に立派な桜。そして登りきると、今度は階段を下りて本殿にいく変わった造りです。

ここでさえずっていたのが画眉鳥(ガビチョウ)、まあ、私たちを大歓迎という風に、鳴くは、鳴くは!姿は見えませんが、声は凄いのです。神社の人に名前を教わりましたが、調べると少々迷惑な鳥のようです。

確かに、たまに聞けばいいですが、1日中さえずっているのはたまらない時もあるでしょう。でも、ご機嫌で鳴いている声は、富岡にようこそようこそ♪と聞こえました。

妙義山に向かうと途中にある「ふるさと美術館」道の駅も近くですが、まずはここに寄ると素晴らしい展望です。独特の山の形が良く分かり、思わずデッサンしたくなる。

そして、「妙義神社」。この山の上にどうやって造ったのだろう、というくらい美しい凝った作りのお社です。

これだけ立派な神社なのに、人に会わない。もしこれが伊豆半島になどあったら、毎日観光バスが着き、土産物屋さんでごった返しているでしょう。静かです。

途中あった女性3人は千葉からの方、製糸場から足を伸ばしたとか。正解ですね。製糸場だけでは、また来たいとは思えない。同じ、世界遺産群である、先人の家や、学舎や、学びがあって、そしてこうした神社や眺望に触れて、これで初めて「富岡に行ったよ」ということになるはずです。

妙義神社から出ると、眼下に家並み。枝垂桜が咲く頃にまた来たいと心から思いました。だって、富岡、そして富岡の周りは本当にきれいなんですもの。