「視点展」入選

ちょっとしたこと

「視点」という名の全国公募写真展に入選しました。ただの入選ですが、3回目のチャレンジなので正直うれしいです。

全国各地へ出かける仕事柄、資料写真は撮ってきました。が、「それなら、作品性の強い写真も撮ってみれば」と家人に勧められて撮り始めました。趣味としてはおもしろい!さらに応募などしてしまったのです。

いくつになっても、認められるっていいですね。
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まずは宣伝をしておきましょう。

JRP日本リアリズム写真集団が主催の第40回全国公募写真展「2015視点」という展覧会です。

上野の「東京都美術館」で6月2日(火)~9日(火)まで開催です。ぜひお越しくださね。

詳しくはこちら>>http://www.jrp.gr.jp/modules/shitentop/

さて、私の写真話です。

写真に興味を持ったのは、遥か昔、高校一年のことでした。女子高に通っていましたが、情操教育に熱心な仏教学校で行事が多く、私は勉強よりもそちらの方が好きでいた。

で、そんな行事と、大好きなクラスの担任の先生・仲間の様子を、写しては写真をプレゼントする、そんなことをしていました。父のおさがりのカメラが身近にあったからできたわけです。

当時は白黒フイルムで、写真の紙焼きまでDPに出すとずいぶんお金がかかりました。これを「クラスの記録を残さなくちゃいけないの」と、ボランティア広報記録係のような口ぶりで、
母親に負担させていました。「智子、お母さん、写真代で破産しちゃうよ」と言われていました。

まあ、そのくらい、いつもカメラを持っていて、みんなのスナップを撮っていたのです。高校卒業の時は、その写真を巨大なスケッチブック何冊かに整理し、先生に贈呈。今でも、クラス会にはその何冊かを先生は担いでおいでになり、みんなはなつかしく見ています。

そのまま、私はだんだんコピーライターという仕事についていきます。週刊誌や月刊誌の記事には簡単な写真が付き物、当然、今度は写真も仕事になっていきました。

編集プロダクションを起こし、何人かの社員さんそして出会った夫と仕事を回している間もなんだかんだ写真はいつも仕事とだぶりました。でも、夫がカメラマンだったので、専門の方は彼の仕事。私は自分の仕事上のメモ代わりでした。

夫は広告代理店の仕事や雑誌の仕事をしながらも、やりたいのは自分の作品作りという人。どこに引っ越しても、どんなに小さな家でも、一室はいつも酸っぱい匂いのする暗室で、写真が壁に貼り付けられ、作品パネルが場所をとり、家の中は写真が渦巻いている感じ。

だからかえって、私は“作品作り”などしなかったのかもしれません。

この間、私のカメラはフイルムから「写ルンです」に変わり、簡単なデジカメになりました。おびただしい写真を撮っても資料写真には変わりなく、今でも、iPadがあれば、十分。資料や報告やブログやフェイスブックには別に、さらりと撮ればいいわけですから。

それが、数年前から「何か作品を撮れば」と夫が言い始めました。たまたま山ほど撮ってくる私の写真を見ていて、「こういうの、もっとこう撮ればいいのに」などとのたまうことが多くなって・・。

「忙しい移動の中で、そんな写真なんて撮れないよ」などと、私は無視していましたが、なんとなく気になるシーンにカメラを向けると、これが面白い。と、だんだんなってきました。

同じものでも違うものに見えてくる。仕事の資料写真から、自分の気になることに私がカメラを向けた、というかなりプライベートな写真になるからでしょう。

上手に撮れる撮れないは別として、各地に出かけてバタバタしている時のわずかな“自分時間”が落ち着きます。これはいいことでした。無趣味な私には、とても良い上質の情操教育時間です。

今までなら、どんな山奥でも古びた町でも、多くの時間をパソコンや仕事相手の人に向かっていました。それが、何かカメラもってブラつきたくなります。それはたとえ10分でも、とても清らかな私の時間です。

まあ、あんまり仕事にのめり込むのを横で見ていた夫が、出張先でもできる趣味を与えてくれたのでしょう。同じ道具、同じ行為なのですが、視点が違うからすがすがしいのです。

「きれいだな~きれいだな~」とか「わあ、おもしろ~~い。いいねえ~」などと呟きながら、写真を撮っている自分に気づくとき、ああ、今私、仕事を忘れていた、とうれしくなるわけです。

家に帰ると夫(私設師匠です)に写真を見せます。「へえ、ほう~。ダメだね」の連続ですが、まあ、夫婦の会話がもう一つ増えました。

それで、夫が毎年チャレンジしている「視点」という公募展にも、「出してみろよ」と言われ、出してみたわけです。2回は落選!!!!

仕事の上ではチヤホヤされることの多い私ですが、「落選」となると落ち込みました。「私、センスないのかなあ~・・・」

で、今回ようやく「入選」です。うれしかった~~~~!これまでの仕事や名前でなくて、作品だけを誰かが拍手してくれたってことがうれしい。

入選をいただくと、確かに過去2回の写真はひどかった。ということが、わかります。「そうだね、そういうことか~」と。

60歳を過ぎてからの手習いです。でも面白くなってきました。初心者ですから、頑張ります。

撮るのも面白いけれど、人の作品を見るの好き。いい写真は、物語を読むようで、その場から離れられなくなります。

いつかそんな写真を撮りたいなあ~。