FUGURO

ちょっとしたこと

宮城県亘理(わたり)町で作られている布袋の名、袋の地元の発音「ふぐろ」がそのまま商品名になっています。

最初に知ったのは新聞記事でした。東日本大震災被災地の女性たちが起業し、昔から作られてきた布袋を手作りして商品化、それが東京でも人気とのこと。

実際買ってみると、柄あわせや仕立てがすばらしく感心しました。「スローライフ逸品賞」の受賞もうなづけます。

新宿でこの「FUGURO」をみつけたときに、思わず出たのが「かわいい~」の言葉でした。着物の残り布や古着を元に、巾着や袋が作られてあちこちで売られていますが、
ここまで「かわいい!ほしい!」と思ってのは初めてです。

ただ、古布の活用、リフォームの粋を超えている、新しい商品になっていることが惹かれた理由でしょう。品物を見れば「被災地のものだから買ってあげよう」などという
おこがましい意識はどこかに飛んで、「売り切れないうちに入手しよう」に変わっていました。

宮城県南部の亘理町は、海岸のイチゴの産地。まちは巨大な津波にのまれ、今なお多くの方が仮設住宅で暮らしています。

ここで、被災した呉服屋さんから反物を譲り受け、それで巾着袋作りが始まったそうです。昔から、何かお礼をするときは、手作りの袋に米や小豆を入れて渡す習慣があったとか。

サイズが1升(大)、5合(中)、1合(小)というのがなんともほほえましい。仕立てがしっかりしているのは、和裁・洋裁の先生をしていた方が、技術指導をされているからだそうです。

古い布と、今風のビビッドなカラーがうまく合わさって、独特のおしゃれ感を出している「FUGURO」は10月に行われた「スローライフ逸品フォーラムin高岡」の「スローライフ逸品大集合」に出品され、見事に「スローライフ逸品賞」の「実行委員会会長賞」を受賞されました。

高岡フォーラムのテーマである「まち・技・こころ」が「形」になった逸品と評価されたのです。

季節はすすみ、だんだん寒くなったきました。亘理町も雪に包まれるようになるのでしょう。でも、20数人の女性達が、おしゃべりしながらチクチクと針を進め、「FUGURO」を作っている姿を想像すると、気持ちがほっこり温まります。

がんばれという言葉を送るより、私はこのかわいい「FUGURO」を今日も使って、「繋がってるよ」と伝えたくおもいます。

「FUGURO」を作っているグループの名は「WATALIS」です。http://www.watalis.jp/

まちのシンボルのイチゴをデザインしたストラップもあります。