いいな、方言。その2
青森のフォーラムで、方言を地域資源として考える分科会に参加した私ですが、驚いたのは「ワ・ラッセ」という会場にあった自動販売機。これが方言を話すのです。
「あったげ飲み物どんだべ」と勧められ、つられて買えば「釣りっこ忘れねでの~」と、世話までしてくれます。
1本のコーヒーでなんだか心まで温くなり、東京弁の自販機より、やっぱり方言はいいなあと思ったわけです。
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※見た目はごく普通の自販機ですが、方言を流暢にしゃべります。
先回のブログでは、青森フォーラム・方言分科会で、津軽弁は、ドイツ語と共通点がある。津軽弁を無形文化財にすべし。面白がって楽しんでこだわっていけば自然に残る。使わなくなった道具が世の中から消えるように、無くなるならばそれはしょうがない。この方言ブームをチャンスに積極的に残そう利用しようなどなど。の意見が出て、私が思うには・・・。というところで止まっていました。
で、続きなのですが、冒頭の自販機のように、方言は楽しい、方言は面白いと、どんどんいろいろな形で使っていけばいいと思うわけです。
そもそも今回のフォーラムのメイン会場「ねぶたの家 ワ・ラッセ」の名前そのものがねぶた祭りのときの掛け声「ラッセラ~ラッセラ~ラッセラッセラッセラ~」から来ているわけで、これを知らなければ??な名称です。もう一つの駅前施設「アウガ」だって、かなり方言ぽい。
そんな中で出会った自販機ですから私的には「これだ―――!」と感動したわけです。
正確に書き出しますと、自販機の前に立つと「まいどさま~ あったげのみものどんだべ~ ポイントカード使えるはんで」
で、ここでお金を入れて、買うと。「いっぽ~ん。釣りっこ忘れねでの~」といわれるわけです。
これが津軽弁であるかは別にして、こういう方言との出会い方はアリだと思うわけです。
JR青森駅に着いたら、津軽弁と東京弁と交互にアナウンスがあってもいい。切符の自販機が方言でもいい。
これを、どこが発祥の地だから、とか、皆さんにわかるように平均化しないととか、こだわっていると前に進まない。
イベント名でも、施設名でも、商品名でも、使いたいなと思った人がどんどん使ってしまえばと思うわけです。
そう思うと、青森市内の飲食店は、もっと方言メニューを駆使してくれてもいいと思う。ブティックだって、スーパー、百貨店だってポップや店内アナウンスが方言、いいなあと思います。
方言が当たり前に使われていたら、方言を使う人がそこでは主人公であるとはっきり打ち出されるし、他所から来たものにとっては、「わあ、違うところに来た」という実感がわきます。
これを商店街や、青森市の観光現場ではすべて方言でなどと統一したり管理したりすると、また画一的になっていく。
多様に、それぞれが、とにかく「方言は尊い」という考えで居ることが大事、ということだと思います。
今回知った「津軽弁の日やるべし会」の活動は、なんと、27年も続いているとか。頭が下がります。
津軽弁の日の録音CDを青森駅の売店で買いました。また、会の方からも過去の記録のCDを送っていただきました。
これを事務所で再生していると、事務所が津軽弁で溢れます。意味はさっぱり分かりませんが、イントネーションだけでなんだか、のどかな気分になってきます。
どちらのCDにあったエピソードだったか、ポスターの話がありました。
スイカを売っている農家のおじさんが書いたものに「おいすい シイカ」とあったそうです。
スとシが、逆になる津軽弁。何のこだわりもなく、自然体で書いたおじさんが何ともいい感じ。この「おいすい シイカ」食べたくなりますよね。
「やるべし会」の活動以外でも、いろいろな活動が出てくることを期待します。
津軽弁のジャズやシャンソンは有名ですが「津軽弁女子会」とか「津軽弁ツアー」とか。(これは近々始まるとか)「津軽弁で学ぶ津軽料理教室」とか。「津軽弁合コン」や「津軽弁ファッションショー」など、みんなが好きにやりましょう。
小難しく考える人、学問的に方言を研究する人、方言で踊る人、いろいろな方法で方言を楽しみましょう。多様な言葉を持つ国が豊かだし、スローだと思います。"