野菜力

ゆとりある記


食材の生産者と外部の人が、食を通して交流する催しに行ってきました。おなじみの栃木県那須町です。

和牛、猪、鹿、鱒などたくさんの料理が並びましたが、感動したのは「野菜」です。色鮮やか、新鮮、味が濃い、香りがある。

こういう野菜を食べると、都内のスーパーで買う野菜は、抜け殻のように思えてきます。若き生産者達のスピーチも、自信とパワーに満ちていました。

“那須はおいしい食材の名産地「食フェアinNASU」”という催し、参加したのは地元の生産者と外部の旅行業者・マスコミ関係者などです。

バスでぐるりとまちを見学、疏水を眺め、山を仰ぎ、野焼きの煙を眺め、解説を受けます。

ぐるぐる巻かれた白い干し草の包みは、中でだんだん発酵が進み、おいしい身体にいい草になっていくそうです。「“牛の漬物”と呼ばれるんです」と教えられ、みんな驚き。

こうしてまちの説明を受け、少し風土に触てからその後、食べ物に出会うと印象が違います。食べ物は、いきなりお皿に乗った物ではなく、そこまでの行程やともに食べる人も含めて
“食べる”になると思いました。

乾杯はホウレン草・りんごなどの混じった生ジュース。

きれいな色、これは那須の光と風の色なのでしょう。

猪肉よりも、ウドやゴボウにひかれます。

アスパラ、ブロッコリー、獅子トウガラシ、ライムなど、おすまししてテーブルの花に。

肉が野菜の添え物のように思えます。

様々なチーズをつまみ、また野菜を食べるとおいしい。

好きな野菜を好きなだけ、好きな味付けで食べるご馳走。

「そのジャガイモ僕がつくったんです」「そのショウガうちのです」「絞るヨーグルト、味見してください」「家族で作っているんで量はできませんが、自信があります」生産者の方々の活きのいい話をうかがいながら、食べます食べます。

「アスパラの活き造りだね」「何といっても野菜がおいしいね」「野菜に味があるから、調味料が要らない」「こういう料理を普段からたべたい」食べながら語ります。素直な反応を生産者も聞いてニコニコ。

こんな食事をすると、食べきれない「舟盛り」や、冷凍の「巨大カニ」、どんな山奥でも必ず登場する「エビの天ぷら」などの、旧態依然の味でいまだに勝負している観光地や宿が、極端に時代遅れに思えてきます。

消費者が変われば、観光地も変わるもの。都市部の人は、野菜の産地に“口”を運び、都会暮らしで溜まった身体のアクを流す旅に定期的に出かけなくては、なのです。"