「弥生画」

ゆとりある記

昔、飢饉の折、村人は残り少ない穀類や種を持ち寄り、板に貼り神様に祈りました。すると翌年は豊作に。青森県鶴田町に伝わるお話です。

日本に穀類や種子が伝わったのは弥生時代、それにちなんで板に穀類で描いた絵を「弥生画」と呼ぶようになりました。

200年以上続くこの町の伝統、今年も雪の中、大豆・小豆・黒豆・米・粟などで描かれた大黒様が神社に飾られていました。

この「弥生画」に私が興味を持ったのは、鶴田町を紹介するこのサイトを覗いてです。
「メデタイ・ツルタ」 http://www.medetai-tsuruta.jp/

「豆や米やゴマまで、一粒ずつを貼り付けて絵にするなんて!」ぜひとも現物を見たいと思っていたところ、昨年暮れに奉納された「弥生画」が、まだ実際に飾られているところを見ることができました。

うかがったのは鶴田町の「鶴田八幡宮」。ユーモラスな大黒様とこの町のシンボル鶴などが描かれた図柄。遠目にはまさか穀類・種子類で描かれているとは思えません。

2メートル×3メートルくらいの大作が鳥居前に取り付けられています。細い縄を美しく飾り編みにしたものが暖簾のように下がり、鰯などもついています。

こんなにかわいい、美しい風習が守られているとは。

昔は餅から作った糊で穀物を貼ったそうですが、今はボンドとか。でも町民有志が、五穀豊穣を願い、丁寧に作り上げるその熱意に変わりはないでしょう。

奉納後も、町内に1年間展示されます。近くでじっくり見ると、豆などの向きまで揃えてある!

太い線は黒豆、地模様などにはゴマやエゴマなど細かい粒のもの。時には穀類を挽いて粉にしたものも使われるそうです。着色しない、天然の豆の色がこんなにきれいかと驚きます。

ピンセットや削った割り箸で、一粒ずつ貼り付ける「弥生画」。体験させてほしいなあ~と思いました。「弥生画」をくぐりぬけて、八幡様にお参り「また、鶴田にこれますように・・」。せめて今度、自分で小さなブローチでも作ってみましょうか?