こうや!マキ
仏壇に供える「高野マキ」、奈良県・野迫川村は高野山の近くなのでマキ山をつくり、林産物として出荷しています。
青々とした緑が長持ちする、しかもいい香り、神聖な仏花だからこそ仏壇以外に普通の花材として利用すれば・・とつい思います。
花とあわせたり、葉だけをティーカップに活けたり、マキの周りの空気が清らかになる感じ。高野マキの使い方は「こうや!」とご提案です。
人口500人の野迫川村、村に一軒の食堂の駐車場よこで高野マキが売られていました。地元の人は買いません、たまたま寄った外来者用でしょうか?
驚くことにバケツに水はなし!新鮮だからということもあるでしょうが、そもそもマキはあまり水を必要としないのです。書き置きと、鍵のついた缶が店番してました。
私とともにマキの束は、民宿で一泊、車で県境を越え、高野山の前を過ぎ、くねくね道で山を下り、電車に乗って、新幹線に乗って、地下鉄に乗って・・・東京・港区までやってきました。この景色をマキはどんな思いで眺めたのでしょう。
うちに仏壇はありませんが、花はいつも活けています。で、マキさんはシンビジウムと一緒に。
事務所にはドサッと活けましたが、小さな枝はティーカップへ。テーブルの上が浄化されるように思えます。
仏壇用と決めないで、普通の花材として売ってもらえたらうれしいな~。
ほら、リースだってできます。しかも長持ち!
最後に「ばちいも」をご紹介しましょう。野迫川村の伝統食です。小さなジャガイモを塩か醤油で長い時間皮ごと煮たもの。
塩気で皮は硬くなり、煮しまって、かじると「バチッ」と音をたてて皮が破けるので「ばちいも」です。
梅干かと思うほどの塩辛さ、おかゆに入れて食べるそうです。「こんな昔の料理、今の人は見向きもしないよ」といったらそれまでです。
食べ物の乏しかった時代のイモの保存法、塩さえも貴重だった山奥では、漬物の漬け汁で煮ることもあったとか。
そんな時代に思いを馳せながら、食べる「ばちいも」はジャガイモの風味が凝縮されて、素朴な美味しさです。
これに無塩のフレッシュチーズをあわせ、オリーブオイルを少しつけて食べたら美味しいはず。クレソンやルッコラもつけましょう、ワインにぴったりです。
こんな風に考えると、奈良県南部の天空の村・野迫川村は暮らしを楽しむ物やことが一杯。宝石箱のように思えてきます。
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