巣鴨復活

ゆとりある記

“おばあちゃんたちの原宿”といわれる「巣鴨地蔵通り商店街」、去年の2月は「おうちですごそう」という旗がなびき、人がいなかったのですが、今や賑わい復活です。皆がマスク姿である以外は、コロナ以前と変わらぬ人出。毎日7千、8千と数えられる感染者数にも怯えずに、街に繰り出す人たちは、私も含め、もはやイチかバチかなのでしょうか。おばちゃんパワーなのでしょうか。

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去年は「ステイホーム おうちですごそう」という大きなポップがずらりと並び、「ソーシャルディスタンス 1~2メートルちょっとはなれて」という看板が出ていました。それが今は何もない。街も「もう各人でご注意を!」ということなのでしょう。

去年はサッと買えた、和菓子屋さん。名物塩大福を買う人達が並んでいます。

コロナより、振り込め詐欺?街に繰り出した高齢者に向けて注意書きです。

私も含め、おばちゃん、おばあちゃんが興味を引くものが道に面して並んでいる。家で邪険にされていても、ここでは主人公にしてくれる。そんなところがこの街の魅力なのでしょう。

そういえばいまはどこでも、若い人、綺麗な人、お金持ちはいらっしゃい!と手招きされますが、年を取った、しわだらけの、腰の曲がった、貧乏人は、歓迎されない世の中です。それがここでは堂々と歩ける。着飾らなくてもOK。杖をついても、押し車でも・・・。

私も、おばちゃん用の痛くない靴を求めて、ほぼ普段着でやってきたのでした。

せいせいとタバコが吸える店もある。賑わいを見ながら、ニコニコ缶ビールを飲んでいるおじいちゃんもいる。家には居場所がないのかもしれません。ウサギを散歩に連れ出すおじさんもさみしいのなら、抱かせて、撫でさせて、というおばちゃんもさみしいのかもしれません。

ここで少額の買い物をして、笑って、ウキウキして、また家に戻ったら1人だったり、テレビを見ているだけのおばあちゃんにもどるのかな~。

「物を捨てないで」とある機械は、昔の「マンリキ」です。知っている人は知っている。金物屋さんのおじいさんが説明してくれます。私もぎりぎりわかる年代。「こうやってここに挟んで、こう曲げてね」と。つい最近まで使っていたのだそうです。

そんな話をしたり、安いマスクを買ったり、路地に入ってしゃがんで団子を食べたり。古いアパートを覗いて眺めたり。そんな時間を過ごして、私も帰ってきたのでした。