久しぶりのワイン城

ゆとりある記

2020年春にリニューアルした、北海道池田町の「ワイン城」を訪れました。コロナ禍でなかなか大変なようですが、ずいぶん良くなっています。各所に気配りと、学べる要素があるのがうれしい。単なる物売りだけの観光施設は一度行けばいい。ここは「また来よう!」と思わせてくれます。秋にまた、ワインの本を読みにまた、ガイドツアーにまた、デザートの新作を食べにまた・・・。

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中世のヨーロッパのお城のような建物。これはあまりにも有名ですね。ツタにみえるのはもちろんワイン用のブドウです。

このブドウ柄のレンガが可愛い。こういうところが新しいのです。子どもたちがブドウレンガ探しで遊べます。

素晴らしい景色が広がるアプローチ。グループで来たら、あの大きな樽の前で、絶対に写真を撮りたくなりますね。各所にいわゆるインスタ映えするポイントがあります。

正面玄関から振り向くと、この景色。いいでしょう~?この玄関や、階段を使ってのウエディング・フォトは素敵でしょうね。いわゆる観光施設っぽいごてごて感がなく、シンプルなのでファッション写真にも使える感じです。

これがすごい!玄関の展示。ここの看板ワイン「山幸」、その山幸のブドウの樹の根っこが飾られています。こんなに根が長い。そして、左右の土壌の標本は本物で、同じ樹でも土地によって味が変わることを示しています。

そんなワインについての奥深い知識を学べる「ワインライブラリ」が出来ていました。ご自由にご利用ください、と。ここでいろいろな講座もあるそうです。このあたりが、生産と売るお城から、学べてくつろげるお城へ変身した証明ですね。

家でこれだけのワインの本を集めるのは大変です。でもここに来て、ワインを飲みながら知識を深めるなんて、いい時間です。買い物好きの奥様が夢中でお買い物の間、ここでご主人がゆっくり待つなんてこともできます。ここで本を読みたいなあ~、また今度ね。

廊下は「廊ミュージアム」という展示スペースになっています。施設のガイドツアーだけなら無料。ワインテイスティング付きなら2000円。これはしっかり時間をとってツアーに参加すべきですね。これもまた今度。

昭和38年に取得した、果実酒類試験製造免許の通知。この一枚の薄い紙から、十勝ワインの歴史がスタートするわけです。この紙一枚のために、先人はどれだけの苦労をしたのか。そして現在に至る大きな産業へと羽ばたいたのでした。

地下には静かにワインが眠っています。紫色に染まっているのは注ぎ方が下手だからではない。日々樽から自然に蒸発する分を、注ぎ足して満杯にしておく。その際わざと溢れさす、そのワインがつけた色なのだそうです。このお世話には、お盆もお正月もない、とのこと。ワインが染めたいい色ですね。

スパークリングワインのコルクは、右の円筒上のものが左まで変形する。そのくらいギューッと押し込むわけです。コルクがなじむまで3カ月くらいかかるとか。ガイドツアーに参加しなくても、丁寧に回ればこういうことがわかるようになっています。

そして、ここがショップ。一見、図書館の本棚のようなワインの商品棚。確かにワインにはそれぞれ物語があるのですから、一冊ずつ好みの本を選ぶように、ワインを選べます。解説が実に丁寧です。くたびれたら椅子がある。買い物の場に椅子があるとくたびれないで、ゆっくりたくさん買えますね。

今回はこれを買いました。おなじ「山幸」でも土壌によって味が違う。その飲み比べセットです。こういう通好みの商品があるのがうれしい。果たして、私の舌はわかるのでしょうか?

白樺の樹皮をアクセサリーに加工した物。こういう珍しいもものもありました。

ふと見ると、どこも絵になる。ワイン城だけで写真コンテスストができそうです。

最後に目にした教え。産業の無かった町に、山ブドウでワインを造ろうと思い立ち、成功させた人、丸谷金保町長の言葉が大きく掲げられていました。思わず私の背筋が伸びます。ふだんから、焦って慌てて、つい諦めてしまっている自分に気づきます。生き方も教えてくれるお城だったのでした。

お城の裏手の畑には既にブドウが実をつけています。この実が熟す頃、また、うかがいましょう。