「湯せんぺい」食べ方研究

美味しい話題

雲仙市で、「湯せんぺい」の食べ方を研究する催しがありました。小麦粉・卵・砂糖で作る、薄くて軽く丸いお菓子。お土産物として知られますが、これの違う食べ方を考えようというわけです。サラダのトッピングに、チーズとカナッペ風に、ビーフシチューにも。アイデアが湧いてきます。なかにはコースターに、クリスマスツリー飾りに、なんて発案も。オンラインで参加しました。

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「湯せんぺい」を作っている店は、市内に数件ありますが、味やデザインが少しずつ違うそうです。この日は雲仙温泉の遠江屋本舗という店の加藤隆太さんが講師、ここの「湯せんぺい」が主人公でした。なぜ「ぺ」なのか?加藤さんの説明では、北部九州ではこういう小麦で作ったものを「せんぺい」と呼ぶのだそうです。「九十九島せんぺい」「博多にわかせんぺい」も「ぺ」。米でできたものは「せんべい」と呼ぶのだとか。この呼び方は誰かが本気で調べたら面白いでしょうね。

この日の催しの本当の名前は「雲仙人ツーリズム 湯せんぺい食べラボ」。これだけじゃなんだかさっぱりわからないですよね。説明しましょう!まず雲仙市内で「ものづくり」「ことおこし」に頑張る人を「雲仙人(くもせんにん)」と呼んでいますが、その人の持っている世界に深く入り込もう、探究の旅に出ようという動きを「雲仙人ツーリズム」と呼んでいます。

そしてこの日は、加藤さんがかねてより「お土産物のお菓子から、湯せんぺいを食卓へ」と提唱されていることから、それではみんなでラボ(研究室)のような形で探究してみようということなのでした。いつもお店で湯せんぺいを焼いている加藤さんが、この日は湯せんぺい料理人?になっています。

リアル参加の方が6人、オンライン参加が2人。もちろん私はオンラインなのですがzoomではいると一見して現場は混乱中でした。テレビの取材が入っているようで、遠くから眺めていても、あらあ~大変そう!と思ってしまいます。そんななか、催しはオズオズと始まりました。

シーザーサラダのトッピングに細かく砕いた湯せんぺいが既にのっています。このほかカットした湯せんぺいに、ゴルゴンゾーラチーズがのったり、ビーフシチューがのったり。加藤さんの面白い湯せんぺい料理の提案が出来上がっていきます。

そして皆さんが試食となりましたが、こちらは東京。前もって送っていただいた湯せんぺいで自分が作ったものを説明、そして試食です。

まず、盛り方。デザインが面白いので、お花が開いたようにテーブルに盛って、周りに料理を置き、湯せんぺいをお皿代わりにして、そこにいろいろ好きなものをのせて食べてらどうでしょう?が私の提案。人数の多いパーティーなら、タワーの様に湯せんぺいを積み上げても面白い。

そして、カットした湯せんぺいに今回のせたものをご案内。一番上から時計回りに。まずキュウリとワサビ漬け。バナナとイチゴ。梅干し。卵サラダ。納豆。ブルーベリージャム。キュウリとクリームチーズ。甘い島原納豆。あんこ。真ん中はポテトサラダです。

細かく砕いてヨーグルトと果物と一緒に食べるのは朝ごはんにお勧め。などなど述べたのですが、実はこれが先方には音声が届かない。向こうの加藤さんのお話も、マイクを使っているのだけれど、マイクが生きたり、ダメだったり、プツプツとぎれて半分は聞こえない。悲しいオンライン参加になってしまったのでした。

せっかく作ったのに、話したのに、音が届かない。聞こえない。なんだかポツンと取り残された感じ。悲しく悔しく、私、結局作ったもの全部をバリバリ食べてしまったのでした。(笑)オンラインというのは電波ひとつでこんなことになる、という良い経験です。

でも今回覚えたのは、湯せんぺいの切り方。私はナイフでバリっと押し切ったので、ボロボロになりましたが、加藤さんが極意を教えてくださいました。切れるナイフの刃先でまずシュッシュと放射線状に切れ目をつける。その後、手でパキンと割る。なるほど、これを知っただけでも良かった!

皆さんからは湯せんぺいは意外に野菜にあう、青森のせんべい汁の様に使ったら、お赤飯を挟んで食べてもいい、湿気て食べるのも好き、などの意見。飾りにできる、クリスマスツリーに下げよう、なんて案も出ました。私はこの日、コースターにもしました。コースターを食べながら、ワインなどを飲むのも良いでしょう。

せっかくみんなで研究したのだから、こういう湯せんぺいの使い方、お菓子以外での食べ方を、ぜひ、まずは今のパッケージの中に説明書きとして入れましょう。ただのお土産物菓子として買った人が、え、そんな食べ方があるの?と驚いた後に、自分はこう食べた、という報告を送ってきてくれるはずです。「湯せんぺいを食卓へ」はそこから始まるはずです。

商品の新しい使い方、これまでと違う道筋は、作り手がすべてを考えるのではなく、使い手も一緒に考えていくことが大事だと、私は思います。「ラボ」はまだまだ続けていくと、湯せんぺい研究倶楽部ができ、やがて湯せんぺいから思わぬ関係人口が育っていくことになるでしょう。

それにしても、オンライン講座が完璧にできるように、電波をなんとかしなくては、、、、。