壁面緑化

ちょっとしたこと

近くに建設中のビル、先日覆いがとれたら壁面緑化ビルでした。珍しいため、まだ工事中なのに通行人が写真を撮っていきます。

屋上も壁面も緑化するのは賛成ですが、少々心配。六本木ヒルズ近くという場所がら、高価なテナントビルです。緑の維持には、自動潅水で業者がメンテナンスでしょう。

緑も構造物という感じ。果たしてビルの住民はこの緑を愛せるのでしょうか?

私は、ある団体が主催する屋上緑化・壁面緑化のコンクールで審査委員を、やらせていただいています。これまで様々な緑化事例を見てきました。

単に“ツタの絡まるチャペル”のレベルをはるかに超えて、
その技術や緑化のための商品開発も進んでいます。

軽い土状のもの、潅水装置、屋上や壁面用の植物の開発・選択、コンテナ式の栽培など、費用も安くなり、心ある事業者がビルを緑化しやすくなってきました。数年前とはがらりと変わってきています。

このたびのビルも、コンテナにグリーンポットがはめ込まれて、それが壁状になっているもの。壁に植物が本当に育って覆ったわけではないのですが、こういう試みはうれしいものです。

ビル全体を、電気使いたい放題で広告塔にしているところもあるのに、節電の暑い夏に向けて完成するこのかわいいビルには好感が持てます。

オープンしたらきっとたくさんの取材を受けて、緑たちは広告塔の役割を果たすことでしょう。麻布十番の小さな名所になるかもです。

とはいえ、冒頭にのべた心配に戻りますが、この緑化壁面の緑は愛されるのか?という疑問です。

都会の花や緑が、大量生産された苗をダ~ッと植え、まだ花が真っ盛りなのに、全部廃棄されて、次の苗に変わっていくことにはずいぶん慣れてはいますが・・。

また、もう一つ、“生き物”ではない“もの”である緑で包まれた壁のような気がして。

コンクールの際には、例えば「その屋上を企業が地域にもオープンにして、ともに手入れをして人の繋がりができた」とか、「ビオトープをつくり、子供が自然観察に使っている」とか、「高齢者の園芸療法に役立っている」など、単なる
ヒートアイランドを止める緑化だけではない、副産物のようなことも評価されていきます。

壁面緑化ならそれが地域のランドマークになったり、手入れに地域の人が関ったり。

このビルに入るテナントの方々、もしかしたら住む方々が、何かしら手をかけて“緑を育む”時間を持てればいいのにな~、などと考えるのは甘いでしょうか?

近くに、小学校や高校もあります。コンテナの一つでも季節ごとに交換するときには、手伝ってもらったらいかがでしょう。

業者がきれいに造ってしまう緑化よりも、手間はかかりますが。この緑を、ビルを、愛する人は増えるはずです。

ビルの各階全部が飲み屋さんやレストランが入ったとしても、「あの葉っぱ、僕が植えたの」なんて誇らしげに見上げながらこのビルの前を小学生が通学する・・・、なんて素敵だと思いませんか?

この壁面緑化ビル、しばらく見守りたいと思います。