日光で新逸品デビュー

お仕事で

富山県砺波市・南砺市での「スローライフ・フォーラムinとなみ野」に夢中になっている間に、私の仕事の分野ではさまざまなことがありました。そのことを、今週からご報告します。先ずは日光のことから。

住民参加で何かを考えるとき、アイディアは山ほど出るのですが、それを誰がどうやる?ということでつまづきます。夢を具体にしていくのは、厳しい現実も知ることになります。

行政があまり世話をしても‘できたつもり’になるだけで、本物ではありません。だから山ほどの企画から、現実になることはほんの少しの小さなことになります。でもそれが本当の逸品なのでしょう。

先日(10月中旬)、「日光‘食’の研究所」から、「山の薫りのウインナー」と野菜ゼリー「日光菜果」がデビューしました。このことについては、このブログが詳しいです。
http://nikkokekko.blog121.fc2.com/blog-entry-59.html
http://nikkokekko.blog121.fc2.com/blog-entry-60.html
たった2品ですが、大きな一歩になったと私は思っています。

日光に通い始めてもう何年になるでしょう。2006年頃からでしょうか?仕事の名前、事業名はさまざまですが、一貫して私がしていることは「住民による、日光のあらたな観光おこし」です。

昨年からは‘食’にこだわり、「日光‘食’の研究所」の看板を掲げて、50人近い市民‘研究員’と、日光の‘食’を総ざらいし、地元の食資源を活かして、新しい‘食’を開発するためにワークショップを続けてきました。

まあ、これまで、どのくらいのものを皆で食べて来たでしょうか。新しいメニューや思いつきを試作するのは女性たちがさささと取り組みます。

もともとあった日光らしい味も、皆が作ったり、持ち込んだり。そんななかで、みんながこれはいい!と思ったアイディアや試作品はいくつもありました。それがデビューして観光客が食べる様子などを思い描きワクワクしたものです。

‘食’をテーマにした、観光プランもたくさん企画が出ました。これで日光はどんどん輝くわ~と心躍りました。

と、ここまでは楽しい時間です。その後が試練でした。農家のおかみさん、主婦などが考えたことは、素人ならではの良さはありますが、‘食’のプロから見たら甘いところが山とあるわけです。

レストランは同じ土地と言っても敵同士ですから、なかなか心は開いてくれません。素人アイディアとしては上質でも、客層を絞り込んだこだわりの強い喫茶店では、「皆さんの気持ちはわかるけど、世界が違うのでうちの店ではそれはできません」「うちの味として出すには、もっと時間かけて完成させて行きたい」などと、やんわり断られてしまいます。

おいしい良いメニューも、プロの利益を出す世界では力のないモノなのでした。年間通して出せるか?在庫を抱えても平気か?日持ちはするか?管理が簡単か?利益率は?

日光を良くしたい、地元の産物を活かしたおいしいものを観光客に提供したい。素人もプロも根っこの思いは同じでしょうが、これほどの価格競争や、万人グルメ化のなかではリスク承知の新しいメニューや新しいお土産などにはなかなかプロは手を出さないのです。

実際に売り出す、デビューさせることはしんどくつらいことであること・・・を体験しながら、ようやくデビューとなりました。

だから、なんだかうれしかったのです。地元の新聞記者に向けて「日光‘食’の研究所」を名乗る市民達がたどたどしくも説明している様子は、子どもたちの発表を見守る母のような気分でした。

この2品の後、まだいくつかのデビューが控えてています。売り出したものの、売れないかも知れません。それもまた試練です。

まあ、良く考えれば、新しい‘食’を開発し、それによって新たな観光行動を誘導するなんて、そう簡単にできるわけがありません。

でも、ゆっくりやりましょう。合併したまちが、これまでの垣根を越え、大きな日光市として‘食’をテーマに、先ずは市民が座について、手を繋いだことは確かなのですから。"