足尾食談

お仕事で

少し前、日光市足尾で「食談」をやりました。難しい顔をして会議をするより、食べながら飲みながら語り合うと本音がでてアイディアも湧く。これが「食」の力だと思います。

サクラマス、ヤシオマス、ニジマス、ヤマメ、鹿肉、山椒、足尾の幸でテーブルは一杯。「足尾は銅山跡しかない」なんて、誰が言ったのでしょう?地域と繋がった食を通し、あらためて足尾はすばらしいと確認です。
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「日光“食”の研究所」というものを多少お世話しております。日光を“食”で盛り上げようとして、“食資源”の洗い出しや、新メニューの試作、新逸品のデビュー、市民と事業所の食の事態調査、レシピ集づくりなどなど、市民研究員を中心にやってきました。

何年も経つと、当初の勢いはだんだんなくなり、集まる人は“仕事で来ている人”が多くなってきます。市民が会議のために自分の時間を割いて身体を運ぶとなると、よっぽど強い動機がないと、それは何処も同じですね。

これは仕方がないことではありますが、やはり、「会議だけではつまらない」というのが私も含め本音です。で、ずっと前から、「食談をやろう!」と騒いできたのですが、それがついに足尾地区で実現となりました。

集まったのは、やはり“仕事で来ている人”の割合は多いのですが、それでもいつもと雰囲気が違いました。広い広い日光市ですから、足尾に来ることが本当に久しぶりという人もいます。もちろん初めてという、他所の人も参加されました。

こういうメンバーで足尾銀山平の「かめむら別館」というお宿を会場に、食べ、語りました。銅山で働いていた人たちのお風呂の跡などが残る、足尾といってもすこし山の中にはいった温泉かけ流しの宿です。小さな橋を渡って・・・。

ご主人の神山さんは、「日光“食”の研究所」の当初からのメンバーであり、今宵の調理人でもあります。先ずはご挨拶。

さて、いよいよ宴が始まりました。「サクラマスのお刺身」この美しい色、コリコリとした身のおいしさ。山奥でマグロなどが出ると、げんなりしますがこれぞ足尾の輝くお刺身です。

「ヤシオマスのカルパッチョ」足尾名物の山椒の香り豊かなドレッシングが。

「ヤマメのから揚げ」パリパリと骨まで食べられました。香ばしい!

「ニジマスの燻製」顔は怖いですが、味はやさしくお酒にあいます。これをお土産にしたいくらい。

鹿肉を使ったピザです。山椒の入ったソーセージものっています。ソーセージは足尾の「日光“食”の研究所」会員による開発品です。パンチがあっておいしい。

山芋も足尾の産物。「山芋のあんかけ饅頭」は品のいいお料理でした。

足尾の人は山椒が大好き。そのため開発されたのが「山椒うどん」香りさわやかなうどんで〆。

おお!スイーツです。左上の黄色いもの。水羊羹仕立ての「いもようかん」はこのお宿作。初めての味で、みんな拍手。サツマイモはお隣の群馬県産だそうです。

足尾のお菓子の代表格の「あんこ玉」、素朴な甘さです。地元のレストラン「さんしょう家」さんの山椒シフォンケーキは口の中でとろける柔らかさ。新登場の日光の味「日光唐辛子羊羹」なるものも差し入れされました。こういう話題のあるスイーツが少しずつ出るとうれしい。

ただ、おいしいおいしいと食べていたわけではありません。料理のすばらしさはもちろんなのですが、その料理をきっかけに多様な話題が出ました。

「いろいろなマスの種類の違いは?日光市民でも説明できる人は少ないのでは」
「足尾の人たちは、山椒の若芽の時期になるとみんな山に入って摘む。そのくらいすき」
「鹿肉の加工センターを作れないか」
「山椒シフォンケーキづくりの教室を観光体験メニューにしてもいい」
「年に何度か、マスやヤマメをふんだんに食べる会をやろう」
「足尾に口を運ばないと、このおいしさは伝わらない。ぜひ都会の人に発信しよう」
「合併した日光市民みんなが、この足尾のおいしさを知るべきだ」
などなど、語り合いは尽きません。

“食”が繋いでくれた人の輪。「“食談”はいいなあ~。また他のところでもやろう」と温泉に浸かりながら思った夜でした。