繋がり作りの研修会

お仕事で

長崎県雲仙市で「雲仙人(くもせんにん)」という言い方で、ものづくり・ことおこしに頑張る人たちが繋がるための仕組みが動いています。行政主体で進めてきたプロジェクトが、昨年の夏から市民主体で事務局も回す組織になりました。とはいえ、なかなか人の繋がり作りは難しい。失敗を重ねて覚えるしかありません。催しなどでの、みんなの失敗談を共有して学ぶ研修をしました。

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以前から、「つながり」はそうそう簡単に作れない。小さな気配りの連続で、人と人とが繋がる。その技術を身に付けた「つながりコーディネーター」を育てなくてはダメ、と、ここで書いてきました。ま、それが私の仕事の主、ライフワークでもあります。

雲仙市では昨年の2月に「~交流力を身に付ける人材育成研修~コーディネーター講座」として、3時間の研修をしました。その時は、「雲仙人」という繋がりプロジェクトは、行政主導で行われていました。その後、市民主体の活動になって、実際に雲仙人の一人が講師になり、雲仙人がスタッフで「ハタ(凧)作り」の催しをやった後なので、その中で得た経験を下敷きに、今回の研修となりました。

「繋がりづくりの、コツとツボ~みんなの発見で、悩みを解決!~」という研修です。

レジュメなども作っていきましたが、この研修の実際がいい教材でした。市民事務局となると、山ほど失敗があり、それが一つ一つ学びの材料だったのです。

~~ここからは実際に気づいたことです~~

・18時半からの研修なのだけれど、会場を18時半からしか借りていなかったみたい?そうなら、やはり30分は前から借りた方がいいですね。

・講師(私)と「雲仙人の会」会長は時間前に来たものの、ほかの主催者側が来ない。で、講師自ら机やいすを並べました。

・「ハタ作り」催しの動画を映す予定でしたが、それがどうもうまくいかない。会長が焦ってパソコンを扱っている間に、参加者がぽつぽつとやってきました。受け止める人が居ません。

・18時30分になりました。この時講師(私)はのんきに、近くのポストにハガキを出しに行っていました。「まだまだ始まらないなあ~」と思ったからですが、もう来ている参加者はどうなるの?!ひどい講師です。こういう待ち時間が、繋がるためのいい時間です。「最近どうですか?」とか、「今日は何してなの?」とか。でもそれをやるのは、まずは主催・スタッフ側ですね。

・もう時間が15分も過ぎたので始めましょう、となりました。どうしても地方の市民主体の催しなどは、「時間通りに」というのが上手くいきません。みんながそれでいいと慣れてしまっている。これも気をつけないと、ですね。初めて参加のにとっては、「こんな会か」と思われてしまいます。

・事務局が司会で「まずは自己紹介しましょう」と。それなら、まずは自分が自己紹介しないといけません。それに、今、まさに、録画が映っている。それを皆が黙って見ていたのだから、「皆さんがご覧のこの録画が、この前開催したハタ作りセミナーです」などと、シーンごとに詳しく解説することが先。と、私から指示でした。「ハタ作りに参加された方?」と聞くと、不参加の方も結構いたのです。

・そしていよいよ自己紹介。聞き役の司会事務局のいる場所が、会場前方の端っこ。それだと、皆さんの言葉を受け止めにくい。真ん中に立ちましょう。そして声の小さい方には「はい?」とわざと聞こえない風な演技をすると、相手は、あ、声が小さかったんだ、と気づいて大きな声に変わるので、そんなこともしてあげるといいですね。参加者の中には、明らかにお耳の遠い方が何人かおいででした。

・紹介が終わり、「では、野口さんどうぞ」なのですが、「会長、ご挨拶などいかがでしょう?」と私から。よく、最初に「挨拶」なんていうのがありますが、これはこれで大切です。今日は何のために皆が集まっているのか、主催者の思いを伝えると、参加者が「ああ、そうなんだ」と始めて同じ気持ちになる、ということもあるのです。

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こんな諸注意を、そのたびごとに言いながらワークショップは進行しました。短冊カードにこれまで行った催しでの失敗したこと(✕印)、よかったこと(○印)を書き出します。それを同じようなものは寄せて、グループで✕の代表はこれ、〇の代表はこれと決めて、発表するという流れです。

書いたものを見ると、みんないろいろ失敗している、失敗と良かったことは裏表なので、同じようなことですが、お客様でなくやる側になって初めてわかることがたくさん出てきました。

<✕印>「トイレの案内ができなかった」「記録用の写真を撮らなかった」「飲み物がなかった」「天気予報を信じすぎた」「スタッフが分かりずらかった」「駐車場が足りなかった」「忘れ物をした」「トラブル時の想定不足」「できたぜんざいを配る人が居なかった」「金庫がなかった」←これは、参加費などをいただいたそのお金の入れ物がなく、とりあえず段ボールに入れていたら、最後にゴミになりそうだったという話。笑えますが、なるほど!です。

<○印>「靴ベラがあると高齢者が助かる」「適当なBGMがある」「すぐに連絡をとる癖がついた」「事前に接続テストをした」「参加者1人1人の目を見て話した」「参加者名簿がある」「イベントの目次を書いた」「じゃんけんやビンゴなど参加できることがある」「畳の上でゴロゴロできること」「子どもも大人も走り回った」←子どもが参加すると大人も来ます。そして結果的には、大人がハタ(凧)をあげて、大いに楽しんでいた。非日常作りができた、とのことでした。

発表する人はじゃんけんで決めます。これも催しですね、皆が仲良くなります。発表は、あまりカッコいい言葉でまとめすぎないことが大事。「それは具体的にはどういうこと?」と聞くと、「実はこういうことがあって」と具体的な話が出てきて、みんな頷きます。特に失敗談は、より具体的な話が参考になりました。

今回はこの程度でしたが、短冊に書かれた以外のことを皆がさらに気づいたはずです。私も解説していきました。

・「この研修、私はレコーダーを使ってますが、主催者は記録している?」録画、録音、写真、メモなど、面倒でもしておくと後から便利です。いらなかったら消せばいいのですから。それと写真の記録では、後日、SNSなどに出すことありますが・・・と参加者に許可をとることも大事。今回はスタッフさん忘れました。

・「以前の研修で“生もの効果”の話をしましたが、今回は活かしてくれていて嬉しい」これは、以前会場に花一輪でもあることで、空間がみずみずしくなる。人が集まる催しに、動物など居ると皆がウキウキする。と話したことを実行してくれていたのです。会場に白い椿が一輪、凛と生けられて実によかったのです。これはスタッフさん拍手です。

・参加者から「時間に余裕を持って」「時間管理が大事」と話が出ましたが、この日、私も昼間に訪ねる方の時間を間違えて(というか頭になく)ご迷惑をかけました。人の時間を奪うことになる、詰め込みすぎないこと、始まりと終わるりの時間も予定通りに、が大事と、もう一度確認しました。

ほんの2時間くらいでたくさんの気づきが出てきます。これをあまり整理しないで、文字にしておくだけでも共有できます。整えれば、「繋がりづくりのコツとツボ集」というマニアルができますね。そんなことに繋がればと思いながら雲仙を後にしました。会長がご用意くださった、名物「狸山まんじゅう」の美味しかったこと!ご馳走様でした。