ねばりの地「富山県」

ゆとりある記

千葉で生まれ育ち、静岡に長く居た私にとって、日本海側の富山県というのは未知の土地でした。しかしこのたび、何度も通ううちに、富山県の魅力に惹かれています。

パカッと明るい第一印象はありませんが、太平洋側とは違う力を感じます。ヒラヒラと飛んで行きそうな軽い東京暮らしに比べて、ねばり力というか・・。富山県の牽引力に期待します。

なんでそう思うの?と問われると困るのですが、出会うことごとにだんだんそう思えてくるのです。

ご存知マス寿司、これで富山県のお酒を飲むのがおいしい。どちらも手間ひまかけたスローな味。飲み屋さんでおしゃれにゆっくり。

こういう組み合わせもアリです。路面店では、自販機で券を買ってこんな食べ方ができます。立山と主張するかまぼこがたまりません。

新鮮な海の幸が採れすぎるのか、あえて昆布締めにして、手間と時間をかけて、刺身を違うおいしさに変身させるライフスタイル。山菜までも昆布締めにします。隣の黒っぽいのはホタルイカの燻製。

昆布の消費量で知られる富山県。バックからマイ昆布を出してしゃぶるという県民性?昆布専門店でお気に入りを選ぶ人も。特にトロロへのこだわりはすごいもの。昆布の芯は白い高級トロロですが、表面を削った黒トロロは庶民の味です。

コンビ二で海苔のおにぎりより、富山県ではトロロ昆布です。

店先で鮭を吊るして売っている。干しながら売りながら。待って待っておいしくして・・。

昔ながらの焼き芋屋さん。富山市内の都市部にこういうところがあると、思わずうなります。

高岡の「瑞龍寺」なんと、屋根は鉛の瓦です。黒々と重い、文鎮のような存在。

井波「瑞泉寺」の彫り物。曲線より直線の方が彫りにくいのだそうです。根気良く丁寧に、なんて域を超えた技で寺が作られています。

数年前に登場した富山市内を走るライトレール「ポートラム」。おしゃれ、かわいい、スマート。音もなくスッとまちを走っています。弱者にやさしい乗り物。

スマートな「ポートラム」でも冬場に乗っている人は長靴。そのお客様を運転手さんが席から立ち上がり、一人ずつにありがとうございますと言って切符を受け取ります。現代的な中のスロー。もっとすごいのは、みえるかなあ~。運転席の背中にくくられている竹箒。これで雪を掃くのでした。

なんとなく、私のいいたいこと伝わったでしょうか。東京とは違う物差しで暮らす富山の暮らし。散居村も、合掌造りも、コメも、昆布締めも、蕪寿司も、里芋も、各地域に伝わる民謡、祭り、行事も。皆が総合的に、どっかと座し、ゆっくり、ねばる、時間はかかっても踏ん張る、ぶれない。強く押さないけど、退かない。これが富山力というのでしょうか。

ファストライフに対して唱えるスローライフ時代、つまり新しい時代の牽引を、このねばり力に頼りたくなるのでした。

※11月12・13・14日は、富山県砺波市・南砺市で「スローライフ・フォーラムinとなみ野」です。富山県と私に会いに、来てくださ~いね。↓
http://www.slowlife-japan.jp/pdf/2010103101.pdf
http://www.slowlife-japan.jp/pdf/2010103102.pdf"