地域デビュー講座 

お仕事で

仕事と家の往復で数十年、定年になると「はて、地域のことを何も知らない!」。それでは困るので、中高年向けの対策が盛んです。

東京・目黒区での「地域デビュー講座」3回のワークショップ。地域再発見、仲間づくりがサブテーマ。ワイワイとにかく楽しくすすめたところ、みごとにみんな仲良しになり、これからやっていきたい企画もまとまりました。今のシニアはアクティブです。

主催は目黒区高齢者福祉課いきがい支援係、講師は私。目黒は近いので、私も仲間づくりの気分でぶらりと3回通いました。高層ビルと昔からの商店街が同居する中目黒駅近くです。路地を入ると、馬頭観音があり、ちゃんと人参のお供えが。ビル風が吹きあれるなかでこんなシーンに出会うとホッとします。

参加者に説明した3回の内容はこんなです。(私の配布プリントから)

1回目:「自分を知ろう。お互いを知ろう」
先ずは、学びましょう。スローライフとはなにか?地域デビューとは?地域再発見とは?なぜ仲間づくりが必要か?続いて、自分のキャッチフレーズをつくってみましょう。自分と目黒とのかかわりもみんなにご披露を。

2回目:テーマ「地域を知ろう。あなたのおすすめポイントは」
知っているようで知らない地元、目黒をもっと知りましょう。自分のおすすめポイントを出してみましょう。整理すると目黒の魅力が見えてきます。とくに中高年の暮らしが豊かに楽しくなることを意識して。

3回目:「仲間でデビュー企画を考えよう」
せっかく知り合った仲間です。何かおもしろいことをやりませんか。目黒の魅力をもっと伝えたり、もっと役立てたり。地域づくりは自分づくり、生きがいづくりにつながります。みんなで企画を考えてみましょう。

これは、初回の自己紹介で描いた自分のキャッチフレーズ、その人柄がにじみます。50代から80代まで、ほんの10人ほどの集まりですが自己紹介だけでそうとうにおもしろい。人に歴史あり、です。それぞれのこれまでを引きずりながら、出会ったこの場がえらく大切に思えました。

地域デビューというと男性かと思うと、女性も同じです。定年まで夢中で働き、子育てもして来ると、地域を知って地域に貢献などという余裕はなかった・・という話が出てきました。

2回目では、同じ年代の人に伝えたい、地元のちょっといい場所・ポイントなどを書き出してもらいました。地元のことを何にも知らないなんていいながらも、結構な情報が山になって行きます。

「桜の美しい目黒川」「散策におすすめの公園」「3杯までおかわりできるコーヒー屋さん」などなど。一つずつ説明を聞くと、10人の持ち情報をみんなで共有できました。そして全情報の中から、「これは絶対に教えてあげたい地域情報だ」というものを5つ選び各人票を入れていきます。上位の情報を、そのままガイドブックにしたくなります。

帰りがけに情報の一つ、区役所入り口の“岩田藤七”のガラスを見に行きました。日本で初めて、ガラスを独創的な造形と結びつけた先駆的芸術家(区の説明リーフレットから)である岩田氏は、建築分野でのガラスの可能性も開き旧千代田生命本社ビルに用途にとらわれないガラスの造形をほどこしています。

現在は目黒区役所ですが、だだっ広い玄関ロビーと門柱のように見える緑のブロックガラス群はなんともいい上質のゆとりの空間を創り出していました。このブロックは今回集まった人たちの姿なのでは、なんて考えました。

ね、例えばこんな風に・・・。何人かが自分の情報を出し合うと、どんどん目黒の魅力が見えてくるわけです。

そして3回目は、そんな目黒の魅力を知った上で、この人数でお金がないままで、できることを考えます。各人が企画をザックリと書いて説明。そしてやりたいもの3つの企画に票をいれました。

人気のあった企画2つを2班に分かれて詰めていきます。目的や内容やスケジュールなど。クレヨンで絵などもつけて最後に発表です。結果、「わがまち案内人になろう!」と「花マップを作ろう」という企画となりました。

この3回のワークショップのやり方は、まちづくりのワークショップでやる最も基本のメニュー。かなりテンポよく進めないと着地しません。そういう意味では、今回の参加者の柔軟性には驚きでした。

で、さらにこの後があります。講座は終わっても、企画実現に動き出そうという気運です。3月に集まって先ずランチから。卒業打ち上げではなく、企画実行の出陣集会です。

参加者の一人の言葉が心に残りました。「先生、私、燃えちゃいました!」

※皆さんとってもいい表情で参加されていたのですが、お顔を公表しない意味で写真は小さくしてあります。"