米粉でまちづくり
新潟県胎内市は、最近話題の“米粉”の発祥地といわれるところです。細かく、使いやすい米粉を製造する工場が他に先駆けてできたことによります。
が、生産はするものの、地元での米粉利用はまだまだでした。世界に誇れる新潟の米粉をもっと使おう!市民の動きが始まりました。輸入の小麦に頼らずに、日本のお米をもっと利用すれば、美しい風景や文化も守ることになるはずです。
このまちづくりの動きのアドバイザーとして、今回、私は初めて胎内にうかがいました。旧黒川村と旧中条町が合併してできた、人口3万人ほどのまち。日本海から胎内高原まで胎内川によってつながった、山と海を有する市です。
車で走るとさすが米どころ、右も左も田んぼ。空は広く広く180度。米粉はこの田んぼのものではなく、減反となった田んぼでの新規需要米として作られたものや、ふるい落とされた小さい米粒などが粉になります。
古くから使われてきた、お煎餅のもとになる米粉や和菓子の材料になる米粉とはちょっと違う、大変細かく小麦粉のようにさまざまな用途に使える米粉ができるようになり、ここ数年、米粉パンや米粉パスタなどが話題になっていましたが、
その発祥が胎内市であったとは知りませんでした。
まちでは既に、お菓子屋さんが数件で「みのりっ子」という米粉の洋菓子を作ったり、「たいない麺」の名で米粉のソバを出すお店も出ています。
米粉パンがホテルで焼かれていたり。チョコに米粉が加わりプルンプルンとした食感の生チョコ、「ショコラ胎内」は
まちの名物にもなりつつあります。
米粉100パーセントという、芸術品のようなパンを作る企業も出てきて、このたびそのパン粉もできました。このパンには脱帽、噛み締めていると上質のご飯を食べているおいしさです。私は、ジャムより納豆をのせて食べたい!
というと、米粉のまちが輝いているかのようですが、一般市民は?というと今一つ。
「なにも、無理して使わなくても」「小麦粉より高いし」「売っているところが少ないし」「使い方がいまひとつわからないし」といろいろ理由があるようです。
確かに工場ができて全国と取引をしているからといって、市民が汗して育てた産物ではないとしたら、なかなか愛しようがありません。「いい人だから好きになりなさい」といわれている恋愛のようなものです。
まあ、時間をかけてゆっくり行きましょう。いきなり「米粉でまちづくり」ではなく、このまちの良さをいろんな立場の人が一緒になってあれこれ探していくうちに、米粉が皆の心をくっつけてくれるはずです。通いますよ~。
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