下吉田まちめぐり③「古い、がいい」

お仕事で

下吉田のメインストリート、一見オンボロのシャッター街ですが、レトロのまち、昭和30年~40年代風の貴重な建物といわれると、そうかなあと思えてきます。破れたアーケードも「アートです」といわれると、なるほど。同じものでも視点が変わると、ガラリと価値が動きます。

そのように一度チャンネルがあうと、古ぼけたなんでもないまちが急に良くなって。路地の左の新しいお店より、右の古い家の方に目がひかれる。古いタイルも、何か意味のある懐かしいものに見えてきます。

「この看板メッシュなのはなぜでしょう」「はい、明かりと風通しのためで~す」「このお店、この辺で最初にできた洋食屋。当時は“戦勝”だったのが、時代が変わって“鮮笑”という名になりました」解説があるとますますうなづきます。「愛人」「セクシー」もうやっていないスナックの看板。このあたりがよく、ロケに使われるというのがわかりますね。

普通のうちが、わが家の古い写真を飾っています。「ああ、昔はこういう服来たね」「タライで赤ちゃん行水させたね」話が弾みます。写真を飾ってあるのは、植木鉢置き?

この日、古本屋さんに変身した床屋さんがありました。“まちがミュージアム”という同時開催の催しです。ここのおばあちゃんは、自分の芸子さん時代の写真を展示。人が集まると「これ、私なのよ~」と解説に出てきます。写真にチラッと見えるおばあちゃんの、こめかみに貼ってある白いトクホンわかりますか?

東京・六本木にはない世界です。"