千々石休み12「地蔵まつり」

ゆとりある記

朝起きると「竹添えハウス」の玄関にカニがいます。ここんところ毎晩続く夜の大雨に、避難してうちに入ってきたのでしょうか?カニがいいます。「ねえ、今日は何するのカニ~」「うん、何するカニ~」

朝ごはんを食べると、やっぱり本日もまたフラフラとお散歩にでました。豆腐屋のおばさんがなにやら外に出て、首をかしげています。見ているのはお地蔵さん。ブドウやご飯を飾って、にぎにぎしいです。

「今年はね、このくらいにしたの。朝支度したの、みんなあとで一杯だから」私たちが知ってて当然のように説明してくれるのですが、内容が特殊なことだし、地元のことばだし、う~ん、わからん!

もう一ヶ所のお地蔵さんは、赤と青の幟で飾られています。もう少し行くと、青いよだれかけの地蔵。海のほうに行くと、おお、今度はお地蔵さんが3人?3体も家の縁側に並んでいます。ここでもおばさんが興奮気味に語るのですが、わ、わからん!

しかし、私と夫と理解できた部分を寄せ合うと、どうもこういうことらしい。今日は年に一度の「地蔵まつり」で、地蔵を常々管理しているうちは地蔵を洗い、家の中に運び、ねんごろにもてなすのだそうです。地蔵は清水の流れる要所要所にあって、川を守っています。地区の人総出で掃除もするらしい。固定されている地蔵は、その場で飾り立てられるとのことです。

夕方になると、地域の子供たちが地蔵さんにおまいりに来て、子供にはお菓子を配るそうです。昔は子供が多かったけれど、今はお参りに来る子もチラホラ。お賽銭を届ける親も減った、とのこと。

ここのおばさんは、子供用の甚平をほどいて作ったよだれかけが自慢「花火の柄がいいでしょう」。聞けば、ここの息子さんは今「地蔵さんの頭に金色の輪を描いてあげるため、マジックを買いにいっている」とのこと。「嫁さんは、地蔵さんに供えるごちそうを買いにいっている」とのこと。

もはやお酒やスイカはあるのですが、もっとのせるのでしょう。また、おそらく黒と赤のマジックはあったのでしょう、地蔵さんの顔にはくっきりと描いた目鼻口があります。そのうち息子さんもお帰り。地蔵の顔をほめると、「子供の頃から、絵はいつもいい点数とってたね」とのこと。

この地区の地蔵は、海に面した河口が常の場所。「ここまで運ぶのに私が大変だから、『地蔵さん軽くなってください』って頼むと軽くなってくれる」と、おばさん。持たせてもらうと、頼むのがわかるくらい確かに重かったです。

あっちこっちの地区でこんなことが行われているようで、お地蔵さんの祠はどこも留守。ちゃっかり座敷に何人かで並んでいて、米やら、餅やら、塩やら供えられています。お地蔵さんが寄り合ってお酒に囲まれている一方で、あちこちの集会所では祭りの準備のなおらい。昼から、大騒ぎの酒盛りが始まっているのでした。