テーマは崇台山
群馬県富岡市、市民の地域づくり「円卓会議」を手伝っています。今年度、ある地域では地元の小さな山「崇台山(そうだいさん)」をーマに据えました。これまでなら「防災」「高齢化対策」など、腕組みし眉間にしわして考える課題が主でしたが、今回は身近な山の活用。思い出話からお花見企画まで、楽しい話題や案が湧き、笑顔がこぼれます。アイデアの山ができました。
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場所は「小野地域づくりセンター」、もうお邪魔して3年目の円卓会議です。4つのグループに分かれてワークショップ、これまではグループごとに大真面目なテーマを据えていたのですが、今回は皆が「崇台山」の活用を考えます。
お花見を山頂でやろう。植物観察のウォーキングを定期的に。崇台山写真コンテストを。崇台山のゆるキャラを作ろう。婚活お見合いパーティーを山頂でやったら。パラグライダーは無理かなあ?。などなど、各班各人次々とアイデアがでます。
ワイワイやっていると、自然に大真面目な案も出てきます。隣の自治体と共有する山なのだから、一緒に何か企画を。まずは山を愛してもらい、大事だと思ったら草刈りボランティアをみんなできるように。そもそも、道標が足りないから整備しよう。駐車場も整えなくては、ぬかるむところに砂利を入れよう。
楽しいことをするためには、その前に、そのために、真面目なことが必要になるわけです。そして、花見を企画開催し、その間に人の繋がりがしっかりできれば、災害対策や防災にも役立つというものです。それに、こうして考えることで、普段からこの山の手入れをしている山麓の方々の活動も知ることができました。
この日(2023年11月)円卓会議の後に、私も崇台山へ連れて行っていただきました。(あ、下から眺めた山の写真を撮り忘れた! ごめんなさい)本来は、車を下に置いて、のんびり登ればいいのですが、ラクをして山頂近くまで車で。皆さんが、崇台山にはちゃんとしたトイレがあるからね、と話しておいででしたが、まずは立派なトイレが目立ちます。太陽光パネルを背負った、「バイオトイレ」。きれいに管理・掃除しているのは、小野地区地域づくり協議会の方々です。これなら安心して、女性も子どもたちもハイキングができますし、ついでに環境教育もできますね。
山頂からはぐるりと四方が見渡せます。周囲にある桜が咲く頃は、どんなにきれいでしょう。そして、意見が出たように、この山頂でお花見をしたらどんない楽しいでしょう。ちょうど山頂でひと休みしているご夫婦に会いました。度々こちらへおいでになるそうです。奥様から「トイレもあるし」の言葉。
足元には、アザミがあちこち咲いています。きっと四季折々の花が咲く山なのでしょう。皆さんから、植物観察や、花マップの作成などの意見が出たことに納得しました。
都会に住んでいると、こういう手ごろなハイキングコース、プチ山登りをするには、電車や車でビル群を離れ、都心を脱出してまずは現地に行かねばなりません。思いついたら、お弁当持ってササッとという環境はありません。それがどんなに贅沢なことか。夫婦で、六本木ヒルズ、麻布台ヒルズに出掛けなくとも、崇台山に登ればいい。大金を払ってイタリア料理ランチをしなくても、おむすびといい展望で美味しいランチが楽しめる。崇台山のある暮らしは贅沢なのです。
こういう山が近くにある土地で育った子供と、ビルの山の中で育った子供は、全く違う価値観になるでしょう。富岡市も、ご多分に漏れず人口減少問題を抱える自治体です。若者が富岡を出る前に、崇台山のような身近な山や自然に親しみ、ここで集う大人たちの楽しそうな姿を見ききし、崇台山愛が根付いていれば、一度富岡を離れたとしても、崇台山コミュニティや自然ががなつかしくて、帰ってくる。子育てはここでしたいとはっきり思う。ということになるのではないかと思います。ワークショップの最後に、発表してくれた高校生に期待します。
崇台山の活用は、いずれ、高齢化対策や子育て支援や、防災にも繋がるわけですね。みんなで、そんな目的を目指してゆっくり登って行きましょう。