煙の匂い
3月なのにまだ寒い、寒いうちに火を焚く話を。今通っている京都府綾部市、会合を開くと、参加者からふわっと香ばしい匂いがします。焚き火、煙の匂いです。オール電化暮らしではありえないいい香りです。この人の家には囲炉裏がある、薪ストーブがあるんだ、と羨ましくなります。自分をスモークしている人は、なんだか味わい深い人に思えます。先日、よそのお家で、私も火を焚かせていただきました。煙の匂いするかしら。
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さて、上記のリードを数日前に書いていたのですが、続きを書こうとしている本日、東京は5月並みの気温とか。とはいえ、まだまだ雪の地方もあるわけで、「火」の話をいたしましょう。
「雪の降る夜は楽しいペチカ♪」という昔の歌がありますが、唄ったことはあってもペチカを見たことはありませんでした。それがこのたび、綾部の「Sさん」宅で、拝見させていただいたのです。
それがこれです。一見、レンガ製の貯蔵庫みたいなもの。私のなかでは、外国の家にあるような炎がぼうぼう見える暖炉のイメージでしたが、全然違いました。焚口はありますが、レンガの大きな四角い塊は、ぼうぼうもモクモクもしていない。
うかがうと、このレンガのお部屋?のなかを、熱煙はジグザクつづら折りになった煙道を進み、レンガ全体を温めて、煙はゆっくり外へ出る。温まったレンガの塊は、一度温まれば、翌朝までゆるりと暖かい。
つまり、熱々の巨大な茹で卵を、家の中に置けばいつまでも家がほんわり暖かい。湯舟に熱い湯をはったら、いつまでもお風呂場が温かい、みたいな仕組みなのです。昔、温めた石を懐に入れてカイロの様に使ったと言いますが、それの家バージョン。ジワジワなので、レンガに触ってもアチチとはならない。驚きました!
ペチカのおかげで家じゅうが緩く暖かい。なので、コーヒーを飲む、ケーキを食べる、お土産の交換をする、すべてが何だかほんわか楽しく「お話しましょ~♪」なのでした。
ペチカを選び、ペチカと暮らす「Sさん」家族は、そのご近所さんも加わって、実に優しい笑顔をお持ちでした。
さて上の写真、こちらは、ロケットストーブ型の薪ストーブです。以前ご紹介したことのある「和宿オリジン」さんです。ロケットストーブ式だと、少しのマキでゴーッと温まるということで、ここでは重宝されていました。
都会暮らしでは見慣れない、道具類が並びます。「マキを入れてもいいですか~~」とお願いし、手袋をして、太いマキをゴロンと入れました。一瞬にして、田舎暮らしをしている人のような気分になります。
勢いよく立ち上がる炎が気持ちいい。人類が火を使い始めたときはどんなだったんだろう、なんていろいろ考えます。果たして、私は、ゼロから火を起こせるのだろうか?とも。
廃材が手に入らないときは、軽トラックでマキ材料を買ってくるとか。買った後は、マキ割り作業もあります。火を楽しんだ分、マキを割らなくては申しわけないのですが・・・と思いながら、煙のいい匂いをお土産に身体にまとい、東京に戻ったのでした。
煙のいい匂いの中に暮らせば、オーデコロンなんていりませんね。