あんなかLIVE
群馬県安中市から「移住・定住アクションプラン」(愛称:あんなかLIVE)の冊子が送られてきました。私が、プラン策定委員会のワークショップをお手伝いしたからです。なかを見て昨年度を思い出しました。委員会というと固い会議を思いますが、公募で集まった市民、移住者、企業人などで常にワイワイ。会場も廃校校舎や植物園など、え?という場所。活気ある人達がおもしろい場所で、まさに行動プランを考え、いま走り出しています。
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ここからは、今回私が報告書に書いた『所感』的なものです。皆様もご自分の土地で、組織で、ワークショップをされるときのご参考にどうぞ。
今回のワークショップでは参加者がリラックスしやすい工夫が随所にされました。部屋にグリーンが置かれ、班ごとの話題に合った小物類が視界に入る所に、物語のある特別な水やつまみやすいお菓子なども用意されました。かすかに音楽も流れ、緊張や無機的な空間にならないように、事務局の配慮です。
鉄道についての話題が出そうなら、鉄道関係のおもちゃが飾られる。農業の話が出そうな班には、野菜のおもちゃ等が置かれる。実際にそれに触らないまでも、何かを考える時の目のやり場に、そうした立体物は役立ちます。他の土地で、「ボッチャ」というスロースポーツの話をするときに、紙の説明書より、現物を目の前に並べる、実際にやってみる、その方が話がぐっと広がった経験もあります。
参加者には若者や女性が多く、活気や柔らかな雰囲気が常にありました。意欲ある移住者の存在も大きく、高校生の飛び入りもありました。今まで「移住者どうしが話し合う場がなかった」なんて意見も出て発見になりました。初回のワークショップには、市長も腕まくりで参加。アイデアを紙にどんどん書き出す1人として参加されました。
一方、スーツ姿の役所の役職の高い職員の方々は、ワークショップ現場で見学であっても、どうしても立って腕組みをして皆の様子を眺めてしまいます。「いったいこれはどうなるんだ?」という、難しい顔をしがち。参加市民からはなんとなく威圧感を感じてしまいます。そういうときは、椅子をすすめて小さくなってもらう、なんて配慮もしました。
廃校後の建物や、植物園など、普通は考えられない場がワークショップ会場になりました。廃校になった校舎は、もともと変わった形で、それが使われていなかったのでさらに使い心地は悪い。隣のチームの発表を聞くためには、椅子を持って移動。変わった形の教室は見通しがわるく、身体を動かして見なくてはならない。植物園のホールではクリスマス飾りが華やか。サンタクロースやポインセチアにまみれて、地域づくりプランを話し合い詰めていく。会議・研修室ではないので手元が暗い、記念写真はクリスマスツリーと一緒という具合。
でも、ふと見ると、発表場所を工夫したり、皆で模造紙を持ち上げたり。それなりの工夫が各人でされていました。使いにくい空間を心地よく皆の力で使いこなしていくことこそ、まさに地域づくりの原点でしょう。
「あんなかLIVE」という愛称も皆で考え投票したもの。冊子の随所に動きを感じるデザイン工夫があります。冊子を見て心が動かなければ、身体を動かして、移住までは行きつかないでしょうし。これからが肝心ですね。
今回の経験で、参加者はいつでもどこでもまちづくりについて考える経験ができたとは思います。仲良くなった同士、ワークショップの続きの集まりを実行した班、お疲れさま会の開催も。多少時間がかかっても、全員が何らかの意見を出し、考えを重ね合わせてまとめていく作業を、今後も、職場で、地域で、カフェで、家庭で、続けていただければと思います。そういう土地だからこそ、動きがあって、魅力的になるということですね。