この指とまれ

お仕事で

住民参加場面で、「新しい人材を発掘したい」「いつも同じメンバーで困る」「多様な人の発想がほしい」という主催側の悩みや希望をよく伺います。聞くと、従来組織を使って、その役員に連絡を流している。それでは同じメンバーになります。しかもその役員が声掛けできないタイプの人では、輪は広がりません。従来の清らかな縦の流れは重んじながらも、「興味ある人集まれ〜」という呼びかけ方が必要です。この指止まれ型の人の集め方に挑戦しましょう。

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以前ある土地で、会議に出てきた人が男性ばかりで驚いたことがあります。「まちづくりの話し合いに、女性が私だけなんて!もっと女性を集めないと」と助言すると、「まちづくりの会議に参加してくれるような女性はわが町に居ません」とのお返事。うかがうと、呼びかけ文がものすごく固くて、会議の名前そのものもカチコチでした。それではなんだか世界が見えてしまいます。会議の名と呼びかけ方を替えたところ、なんと数十人の女性が手を挙げました。そんなものです。集める側に、本気でその気があれば変化は起きます。

「産業連携をしていきたい」というのなら、いろいろな産業に関わる方、産業という世界にくくれない方々にも集まっていただいて、繋がっていくことが大事だと思うのですが。今でもまだ、商工関係、農業関係、サービス業、などなど。業種によって人が仕分けられています。しかもその中でさらに、青年部、女性部などと分かれている、となると皆が出会う機会はありません。縦割りで、従来通りの連絡方法で周知するのは楽ですし、安全です。でも、人と人との掛け算は起きません。

「プロジェクトによっては、この指とまれ式で、より広い範囲に呼びかけたらいいじゃないですか」と、私などはすぐ言ってしまいます。すると「呼びかけて、変な人が来てしまったら困るし」と担当はビクビクされる。変な人から変な発想が出ることもあるし、こんがらかってもいいじゃないと腹をくくれないと、多様な人の参加は促せません。とはいえ、現場は時間がなく、事務方に人手もなく、ついつい今まで通りということになります。

人々が「ゴチャマゼ」になって話し合っていくことの価値は皆が認める今ですが、「ゴチャマゼ」をつくれずに時間が経っているということでしょう。まあ、そういう時は、私のようなよそ者が、ワイワイとゴチャマゼづくりを進めていくしかないでしょう。

若い人、高齢者、女性、男性、性別にとらわれない人、子連れ、地元、よそ者、この指とまれで集まりましょう、出会いましょう。新年度が始まり、各地のお仕事で強くそのことを意識する、春なのでした。