密になりたい、なれない

ちょっとしたこと

「できない」となると、より強く求めるのが世の常。いかに私は人と「密」になることを好んできたかが、最近よ~くわかりました。会えば誰とでも、ハグハグしたい。電話やメールじゃ我慢できない、会って話したい。車座になって大声で、一晩中語り合いたい。美味しいものを、大皿から分け合って、食べて飲んで・・・。ああ~我慢、つまらないですね。

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先日、夫といったラーメン屋さんです。ただの普通のラーメン屋さんです。なのに、透明ビニールのシートで仕切られている。水平の棒は園芸に使う、ナスやトマトなどの緑色の支柱棒。手作り感満載の感染対応、きっとお店の人が一生懸命に作ったんでしょう。

お店に入るなり、どこに座ろうか考えます。周りに人のいないところ、空気が流れているところ、キョロキョロ。で、ビニールシートを前に横並びで座ろうとしたのですが、はて、食べているうちにシートの前に人が来たらいやだなあ~。ならば向かい合わせに座りましょう。

座ったものの落ち着きません。夫との間にビニールが下がります。やっぱり横並びにすべきだったのか?そのうち料理が運ばれてきました。エビチリ定食と青椒肉絲定食。当然おかずを分け合いますよね。夫婦ですから、家の延長ですから。「これが他人だったら、今は駄目だね」なんて言いながら。ビニール越しですから、刑務所に面会に行ったような気分、美味しさは半減です。

見回すと皆さん静かに食べています。「そうか、しゃべらずに食べるんだった」と反省。一応食べ終えて、帰ってきましたが、満腹になれども満足はしない。お腹は満たされても、心は満たされない。なんとも寂しい食事でした。

街のラーメン屋さんはもっと活気があって、わいわいしてて、グループで行ったらおかずを取り分けて。ビールのお替りをして、大声でおしゃべりして、大笑いしての場所。このお店も本当はいやでしょうね。でも、この仕切りをつけたことで、お客が入ってくれれば、まだいいわけで、、、。

街のラーメン屋さんでこうなのですから、居酒屋しかり、レストランしかり、カラオケなんてどんなんでしょう。今までなら私はマイクを離さず、デュエット大好きだったのに~~。居酒屋で同席したおじさんと、スナックで一緒になったおばさんと、即仲良くなって肩を組み、お酌したり歌ったりできないなんて。

その延長上に、地域の人語り合ったり、アイディアを出したり、ワークショップをしたり、フォーラムを開いたりがあったのに。私は仕事として、より「密」になるために、頑張ってきたのに。「密」になって地域おこしもしてきたのに。まずは「密」になることが出発だったのに、なのです。

どうしてくれよう、コロナさん!!!

いやだ、不自由だ、つまらない、とぼやいている間はまだいいでしょう。そのうち私はそれに慣れて、人を見れば危険と思い、マスクをしていない人には嫌悪感を抱き、人が群れることを嫌いになるのでしょう。変わっていくのでしょう。そんなの野口智子ではない、と思うのです。

などなど、“諸悪の根源”といわれる東京からつぶやくのでした。