伝達の歴史

ちょっとしたこと

実家に電話が引けたのは、私が中学3年くらいでした。うれしくて、ラジオの電話リクエストに「ビージーズのマサチューセッツを」と震えながら言った記憶があります。それから、FAXやパソコンや携帯、スマホにiPad、Facebookやらラインやら。今やzoomで大人数が顔を見て会話です。これだけの伝える手段の変化を受け止めて、その都度おずおずと対応している自分をほめてあげたい。

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電話は商店やお金持ちの家が早々と引きました。我が家は「○○さんちにも電話が入った」と羨ましそうに私がねだると、
「だんだんね」と母が少し悲しそうにしたものです。学校から急ぎの連絡があったりすると、電話がないうちには連絡網を通じて友達が用件を伝えに来てくれました。家に本当に何か用がある人は、近くの家に電話をして、母は呼び出だされて全速力で走ったものです。

家に来た最初の電話は黒いピカピカの丸っぽいライン、受話器は重く、仏壇の横に据えられました。だからといって、かかってくることもかけることもあまりないのでした。それだけ、電話はよっぽどの時にかけるもので、電話代も気にして、市外にかけるには夜8時以降の安くなる時を狙ったものです。

それがいつしか、母のいないときは友達とくだらないことを長電話するようになります。その頃には玄関に移動した電話にしがみついて喋っていると、母がカーディガンなど持ってきながら「風邪ひくよ、いい加減にしなさい」とにらみました。

家を出てからは、もっぱら固定電話と公衆電話。決まった時間に電話をしなくてはいけないときなど、公衆電話を探して。そう、10円玉もたくさん用意して。そのうち100円玉も使えるようになり、その後はテレホンカードなども登場してきました。

事務所をかまえ仕事に精を出すようになると、FAXも入れるようになります。「そんなに使うことないんじゃないの」なんて言っていたのですがとんでもない。それまで、書類を郵送や、近くなら届けていたのがピリリリーーーという音とともに送れる、届く、こんな便利なものはない。近くを通った人が「FAX貸してくれる?」なんて寄ったりしました。

和文タイプや、写植などもありましたね。だんだんワープロというものも個人で使うようになります。そしていよいよパソコンも。ワープロとパソコンの違いがいつまでもわからなかったりしました。

ポケベルを持っていた人が携帯電話を使うようになりました。電話には留守番電話機能が付きました。私も重い大きな携帯電話を持つようになります。アンテナを引っ張って出す、黒い羊羹のような風情のものです。携帯電話は本当に助かりました。出先で公衆電話を探さなくていい、車の助手席から電話しながら地図を広げ、行き先を探すこともできる。ナビなどなかった時代です。

テレビの親戚のような形をした、大きな重いパソコンは、そのうち持ち運べるようになりました。今やかなり薄いですよね。そしてメールや検索にとどまらず、双方向なんて言葉が出てきたと思ったら、あっという間にSNSの時代。Facebookやインスタやツイッターやラインや。どれもやっていると頭がおかしくなります。こうして個人のブログも書くし、ホームページも作る、伝達の方法は中学のころから比べると、とんでもなく進歩し、多様です。

先日多量のカセットテープを発見、これはもう、かけるレコーダーがない。テープもくっついて固まっている。どうしようもないですね。同じ運命をCDがたどろうとしています。

コロナ禍を機に、リモート化が進み、私でさえzoomというのをやり始めました。動かなくてたくさんの人と話せる。ラインでは実家の母や姉と顔を見ながら話せます。まあ、本当に便利ではあります。ふうふう言いながらいろんなことを覚えてはいます。

でも、ひとつのことの入り口あたりを覚えたら、じきに次のことを覚えなくちゃいけない、いったいどこまでついていけばいいのでしょう。お若い方ならともかく、おばちゃんは大変なのです。何もかもほって、電話だけにしちゃおうか!くらいの気にもなります。

生まれて来た時からインターネットのある世代と、電話リクエストから始まった私たち世代と全く違うと思います。ある意味、原始の世界からzoomまで体験し、階段を上ってきたのですから。どんなもんだい!

ま、こんなことをぼやくと、当方のNPO理事長などは、80歳代後半の元新聞記者。原稿は電話で読み上げて送り、それも出来なければ電報。伝書鳩も使っていたなんて話になっちゃいます。いささか、私も鳩までは使っていません。今の若い人、伝書鳩、わかるかなあ~。

ま、振り回されずに、ゆっくりと、便利なとこだけ少しずついろいろな装置や仕組みを使わせていただきましょう。ふ~~~~~~~。写真は今の私の道具。携帯はもうすぐ修理サービスが無くなると警告が来た、ガラケイです。