煮干し探求
煮干しについての、お話をうかがいました。夜明けに獲れるイワシはお腹が空で雑味が少ないとか、カタクチイワシの煮干しをイリコと呼ぶとか、さらに大きさで呼び方も違うとか・・。たかが煮干し、されど煮干しです。煮干しそのものを使った料理、煮干しをおやつとして食べる方法、漁網の再利用、など話題は尽きません。雲仙市南串山町で、旨味のある時間となりました。
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長崎県は日本有数の煮干しの産地、雲仙市小浜、南串山が面する橘湾も昔から煮干しの材料となる漁が盛んでした。さてカタクチイワシをどう獲るのか?そこからなのですが、この日は「天洋丸」という名の船を持つ、加工会社の奥様、竹下敦子さんにお話をうかがったのでした。漁はそれぞれ役割のある船が何隻かで行う巻き網漁、この船は母船だそうです。夜中に出た船団は何回も網を入れ、網を寄せてイワシを揚げる。港に着いた船から太いホースで直接加工場へイワシを送り、そこで塩ゆでになり乾かされ、煮干しは出来上がるのでした。傷みやすいイワシは時間との勝負だそうです。
近くでは、乾いたイリコを箱つめする作業が行われていました。ちょっと覗いただけでいい匂いです。
天洋丸の事務所です。港を前にして立つお洒落な建物です。
この2階で煮干し講座?が行われました。私がかかわるおなじみの「雲仙人(くもせんにん)サロン」です。コロナ感染対策で、現場には少人数。しかも竹下さんが用意くださったアクリルの衝立で仕切りながら。
市内から遠方から、zoomでの参加者には、前もってこの日の試食する、検討する煮干し類を竹下さんが送ってあり、それを目の前にしながら遠方の方も参加でした。
この日の主人公煮干しです。ここまでに、漁や煮干し、イリコの基本情報の話があり、さらに話は高度になっていきました。写真は地元では「ピンピン」と愛称があるイワシ。ちょっと小鯵のようにも見えます。しかもこれは塩茹でにしていない、水茹でのもの。これを何か活用できないかのお話へ。
会場参加者の方が作ってきてくださった、南蛮漬けと田作り風。煮干しを一度、素揚げして、お料理しています。これなら生の魚を扱うよりいつでも作れる。水茹でなので味も自由につけられる。というわけです。
奥様が炊き込みご飯を作ったと、お持ちになった方も。煮干しを叩き潰して、それと人参を炊き込んである。実にダシがでて美味しいのでした。こうしてみると、煮干しはただダシをとるだけでなく、料理の素材になる。しかも乾物なので保存食としていつでも使える。煮干しをもっと食べましょう!ということに気づきます。
竹下さんはすでに「橘湾のOYATSU」として、煮干しとナッツなどを詰めたものを作っておいででした。さあ、煮干しとほかに何を組み合わせればいいでしょう?ドライフルーツ、ピリ辛のもの、ワカメや昆布、などなど色々出てきます。確かに煮干しだけでなく、何か組み合わせになると食べやすいですね。
さらに、カタクチイワシを獲ってきた漁網をリサイクルする話題も。食器あ洗いとしてすでに商品化されています。
今回送られたのはこの背中洗い。「少々、痛い」という方もありましたが、私の背中には実にちょうどいい。気持ちよく使えたのでした。煮干しを真ん中に据えて、漁、料理、おやつ、漁網再利用と話題は尽きません。以前も「おうちで漁師体験」という商品を紹介しましたが、天洋丸の竹下さんのアイディアにはいつもほれぼれします。フットワークのいい、提案のあるこうした漁業者さんが増えることを期待します。
それには、私たちがもっと海に、魚に目を向けないとと思います。煮干し一匹一匹の目が、「ちゃんと知って、きちんと食べて、海を大事にしてよ」と訴えているように思えました。