病院の待合室

ちょっとしたこと

都市の大病院の待合室、長い長い待ち時間に、いろいろな人をみます。仲の良さそうな老夫婦、イライラしているお爺さん、香水ムンムンのご婦人、秘書を連れた偉そうな人、宙を見て悩んでいる感じのお嬢さん。普段出会わないいろいろな人を見て、さまざまに想像し、人間とは何かなどと考えてしまいます。病の前では皆平等な待合室で、私はどのように見えているのでしょう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コロナ禍で医療はひっ迫し、今この時も、治療と生きることに皆さんが必至な時に、のんきな話をして申し訳ないです。このたび白内障の手術をするために、かかりつけ医に紹介された近くの大学病院に数回行きました。そこでの話です。

最近リニューアルしたこの大病院は、ずいぶんとシステム化され人が流れるようにはなっていますが、それなりにやはり混んでいて、私のような簡単な検査や診察でも半日仕事になります。その間に、ヒューマンウォッチングということになります。なんせ目がおぼつかないので、本も読めない、人の様子を読むことになる。そうすると実におもしろいわけです。

病院そのものにはこれまでずいぶんお世話になってきました、義母は13回手術してそのたびに入院、こちらも看病してきました。夫は救急車で5回運ばれ、心臓の手術もしています。私も入院して手術の経験もありです。なので、病院に行ったからと言って、ドキドキすることはありませんが、初めての人はドキドキおろおろしますよね。

 

まして、大病院となるとなかを歩くだけでも大変。心電図のところにたどり着けない、増築を繰り返している巨大な建物は迷路のようで私も迷いました。同行の夫ともはぐれて、携帯で連絡する始末。すると同じような人がいます。「ここにいたのかよ、探したぞ」とご主人、「だから心電図って言ったじゃない」と奥さん。小さな言い合いが続きます。

呼び出し専門の若い看護師さんがいて大きな声で「1038番さん、540番さん」などと呼びだしています。自分が呼ばれたなら合図すればいいのに、ただ黙って立ち上げって行く若い男性。看護師さんにわかるように、手を上げたり、返事をしてあげればいいのに。そのまま指示もされていないのに、どんどん診察室に入っちゃうおばちゃんも。

私の番で心電図を取られます。「繁盛ですね」と私、検査技師さんは「お待たせしてすみません」「皆さん立ちっぱなしで休憩などとれるんですか?」「はい、ちゃんととってますから」(笑)なんて会話。「どんどん、呼んで入れて~」と技師さんが呼び出しさんに指示を出します。あの呼び出しさんは声がかれるでしょう。

眼科ですから目の悪い方が来ます。「予約の日はもっと先なんだけどきました」というおじいちゃん、受付の女性が「悪くなったんですか?」「うん、どんどん悪くなる」「どういう風に悪いんですか?」「目が悪くなった」「??痛いの?」「見えない、全然見えない」こういうやりとりを聞き、この人ここまでは来れているのに、と思う私です。

目の前をすごく色っぽい女性が通り過ぎました。胸が大きく開いた、ヒョウ柄風の薄手のワンピースはボディラインを強調しています。通り過ぎた後の強烈な香水。ファッションはともかくとして、病院に香水はダメでしょ。でも、きっと習慣で出がけにシュッとしちゃんでしょうね。夜のご商売なのか?

待合室の椅子に座りながらパソコンを開いて仕事をしている男性、まさかここではzoomの会議には出ないでしょうが、何か追われるようにキイをたたいています。何とかしてあげたくなります。

秘書風の女性と奥様風の女性と一緒のおじさまは、高級スーツと胸には何かバッチが。「いったいどれだけ待たせるんだよ」と怒りをつぶやくのですが、みんな待ってるんですから・・。そのたびに、秘書やら奥様がなだめたり、話題を変えたり。そのうち呼ばれて診察室に入るときのノッシノッシ歩く偉そうな姿。

お耳の不自由な方にはボランティアの方がついて、メモで会話を補助しています。検査の時に使ったメモでしょう、「青い光見て」「右見て」「動かないで」「次はWの19の部屋」など、ノートにマジックで大書きしたメモをを抱えています。そう、不自由のある方の診察や治療はさぞかし大変かと思います。走りまわる子供を連れたお母さんは、自分の治療よりも子供の面倒に大変です。「座ってなさい」「静かにしなさい」の連呼。子供は完全に飽きちゃっています。大変だなあ。

おばあちゃんの乗った車いすを、中年の女性が押してきました。待っている間に会話はありません。なんだか二人がギスギスしている感じ。身なりは立派で高級バックなどお持ちなのですが、二人が不機嫌に居る。嫁姑の関係が待合室にも持ち込まれているのでしょうか?

採血でも待ちます。採血ブースは10か所以上あり次々に血はとられていくのですが、いかんせん患者の数が多い。私の番になりお願いしている間、技師さんとお話。「これだけ大人数が採血できるんですから、ここでこのままコロナのワクチンも打っちゃうといいですね」「そうですね(笑)」

ようやくいろいろが終わってお昼近くになり、夫と会計で合流。「俺、お腹ペコペコ。この上のカフェにオムライスあったよ」「じゃあ、「食べていこうか」。やたら看護師さんに話しかけるおばさんと呑気な夫、この夫婦も誰かがウォッチングしているのかもしれません。