オンラインサポーター養成講座

お仕事で

東京都府中市のこの講座に参加しました。コロナのワクチン予約もネットでの時代、「オンラインできません」では命に関わります。覚えるきっかけがない、教わる相手がいない、そういう方々を助ける人を育てる仕組み、今必要なことです。私の役目は、サポーターに、「伝わるコミュニケーション」の方法を学んでいただくワークショップの進行。私が一番学んできたようです。

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この講座を企画・実施したのは「府中市市民活動センター プラッツ」です。プラッツの方が企画意図を語りました「コロナ禍で、市民活動が急に不自由になり繋がりが作れなくなってしまった。一方、それでもデジタルに長けている人達、特に若者はオンライン飲み会をしたり、zoomなどで盛り上がっている。不得意な高齢者が特に取り残されていく。これはいけない!と思った」のだそうです。

ワクチン接種の申し込みもオンラインとなると、出来ない高齢者は焦るばかり。周りに頼める相手がいないと、もうパニック。たまたまその申込みについてもプラッツの方々がお手伝いしたときに、若いボランティアの方に高齢者が泣いてお礼を言っていたそうです。

そこで「オンラインに、誰一人として取り残されないようにしなくては!」とプラッツの方々は考えました。あちこちに説明会に行き、市民団体やグループにオンラインの講習を始めました。助けてほしいところに助ける人が来てくれたわけですから、こっちもあっちもと声がかかります。とても職員だけではやりきれない。それなら、一緒に講習に出かけて、教える係をやってくれる人を育てよう、募集しようということになりました。つまりは、オンラインの世界に入っていく、伴走者を育てるというわけです。

サポーターですから、何でもかんでも本人に代わってやってあげちゃうと本人が覚えない。かといって先生ではないので、厳しく突き放してもダメ。専門用語の羅列でしゃべっては、せっかく覚えようとした高齢者は頭の中がカタカナばかりで嫌になってしまいます。その辺の加減が難しい。そんないろいろを覚える講習会でした。

コロナ禍なのに、20人募集に定員以上の方が申し込まれたそうです。「自分のデジタル知識をほかの人のために役立てることができれば」と、皆さん偉いです!

1日目はLINEやzoomの基本、その教え方。LINEを初めて入れたとき、「そうそう一気にたくさんの人からメッセージが来ちゃって面食らったっけ」「zoomをダウンロードする、そのことだけでどれくらい苦労したか。そもそも字が小さくて見えなくて」なんてことを思い出しました。私ももちろんオンライン弱者ですから、教え方以前に実に参考になることばかりでした。

2日目は消費生活センターから「スマートフォンに関するトラブル」の事例紹介。似通ったことが身近にもあり、うなづくことばかりです。そして、私の出番。下記が、私の使った講座のメモでした。

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~オンラインサポーター養成講座~       伝わるコミュニケーションを

1 伝えるために
①相手の側に立つ
弱者にとっては何でも怖い。自分の苦手な分野で想像してみよう。
②わかる言葉で話す
カタカナを使わずに説明を。置き換えや通訳をして。
③着地点をはっきりさせる
今どうしたいのか。いつか何をしたいのか。目標を定めて。
④お客様にしない生徒にしない
やってあげれば済むけれど覚えない。やれと命令しても育たない。
⑤お互いに「あ~楽しかった」
教えてあげる、助けてあげる、より、一緒に発見し変化しよう。

2 こんな場合どう対応するか
①あなたのスマホは何ですか?「ドコモです」「ソニーです」
②メールアドレスは?「分かりません。娘に返信するだけ」
③LINEされたことありますか?「ある。一杯連絡きて面倒。怖いからやめた」
④zoomのどこでつまずきました?「顔が映らない」「ミュートてのが困難」
⑤YouTubeをやりたいのですね?「お金かかるの?」「素人が編集できるの?」
⑥ネットで買い物がしたいのですね?「記入しても不備が」「使いたい怖い」
⑦Facebookとインスタに興味が?「やさしいのはどっち」「今すぐやりたい」
⑧変なメールが来るのですね?「訴訟をおこすとか」「乗っ取りましたとか」
⑨言葉が分からない?「アカウント」「ID」「QRコード」「アプリ」意味は?
⑩身近に相談者が?「スマホショップは予約制」「些細なことを聞きたいが」

3 上の事例から選んで良い・悪い対応を実演
※ロールプレイング(役割・role)(演じる・play)

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集まっている方はサポーターを目指そうという方々ですから、オンラインの知識や技術はあります。でも伝え方が下手だと、相手もやる気がなくなっちゃう。相談者がこんな風に言ってきたらどうします?という劇をしてもらいました。超初心者の相談者役を皆さんができるかな~と思っていましたら、いろいろ創作されます。

相談者「スマホが動かなくなっちゃった。安いの買ったんですけど」サポーター「あ、固まっちゃったんですね、リセットすればいい」野口「固まるも、リセットも、分からないよ~」こんなやり取りが続きます。「そもそもzoomって何ですか?」「Wi-Fiって何ですか?」なんて質問に困ったサポーターは「あんまり難しいこと考えなくていいよ」なんて答えて爆笑!。「私、昔お店やっていて、そのお客さんからとか、いろんなメールが来るの消したいのよね」「近所も親戚もLINEしてて、うちだけできないんで」など、いろんな即興の相談が続きました。

ま、オンラインといえども、最後は教えるのも覚えるのも想像力・人間力だなあと思いました。覚えることで、何をしたいのか、そこを聞き出しはっきりしていくと前に進みます。実際に会えなくても、繋がれるのですから、コロナ禍こそオンラインデビューのチャンス。府中の「オンラインサポーター」の活躍に期待しましょう。全国自治体でこういう動きを強力に進めてほしい、見本事例と思いました。