お金以外の儲け

スローライフ運動

物販ということをおそるおそる始めると、いろんなことがありおもしろいです。「槙」を買われた方の生け方は多様、「手ぬぐい」もハチマキにする人もいれば、額装する人もいる。人の思わぬ一面が見えたり、想定外の反応があったり。物の売り買いを通して、人との繋がりが活性化し、関係が太くなったように思います。売り上げよりもそのことが、なんとなく嬉しいです。

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いまスローライフ・ジャパンで売っているのは「高野槙」と「スローライフ手ぬぐい」です。そのエピソードをご紹介しましょう。

関東の方のはあまり縁のない高野槙です。高野山のある和歌山県や近くの奈良県などでは仏様やお墓に備える当たり前のものですが、ほとんど東京などでは売られていません。まして、この枝を日常に使いましょうというのが当方の提案です。

売り出したところ、先日久しぶりにお会いした友人から、連絡をいただきました。第一号のお客様でした。私がセールスしたわけでもないのに、突然の彼女からで驚きました。意外に彼女は植物に興味があった、亡きお母様も、とのことでのご注文でした。

そしてゆっくりと槙は届きました。実は皆さんそうなのですが、かなりのボリュウムが届きます。一軒では生けきれない、思いがけずシェア買いした状態になります。80センチの槙の樹の芯の枝は、普通のお家に生ける花器があるのやらという心配も。でも長持ちするので、まるで家に一本の樹が立ったようになるのです。そして、あちこちの方に枝を分けるということが起きます。

以下彼女からのメッセージ抜粋です。「あまりに多量で格闘しています。自分のセンスの無さにあきれるばかりです。」「(芯の枝は・・)素敵。このままクリスマスもいけそう。まず花器もさがさなければ、と。今日職場から頂き物のアレンジのかごなど借りて帰ってやってみようと思います。」

「高野槙あちこちの友人に分けた写真が少しずつ送られてきました。やはり東京の人にはなじみがなく、皆珍しがってくれました。水やりの心配がないと聞いて、フラワーアレンジメントをしている人は夏場助かると喜んでいたそうです。京都出身の友人は初めて見たと言っていましたが、ご夫妻ともに和歌山出身の方はなつかしい!と持って帰られたとか。直接私が分けたものや、それをまたおすそ分けしたものとか、あちこち10箇所近くに分散したかもです。」

「昨日、近所(多摩ニュータウン内)の団地の入口付近の高野槇を見てきました。先日の“おすそわけの輪”以来、友人たちの間でちょっとした高野槇ブーム。その中の一人があそこにも木があるよ、と。葛にまきつかれて、かわいそうな有り様ですが、なぜここに一本?しかも標識までつけられて。謎です(笑)」

こういった販売を始めなければ、彼女とのこんなやり取りはなかった。彼女もおすそ分けの輪を作れなかった、と思うと嬉しくなりました。

もう一つの手ぬぐい。今まで贈り物などいただいた方、お世話になった方に、私からのプレゼントに、NPOからのお礼にとまずは使いました。すると、いろんな写真が送られてきました。メルマガでもご紹介したように、のれん代わりにキッチンカーに下げた方、玄関にタペストリーにした方。

そしてご自身の使う姿を写真で送ってくださった方。「ハーブ園での摘み取りに似合います」とスカーフ風に。zoomのミーティングには、ご自身の後ろにに貼ってくださってアピール。ふすまの柄にぴったりですね。

お子さんとのキャッチボールに被っている写真。手ぬぐい被ってそうめん食べるシーン。この写真は奥様・子どもたちとわいわい言いながら撮られたようです。手ぬぐい一枚でこんなに騒いでいただきうれしい限りです。

写真は届きませんでしたが、ある方からは「保冷剤を首に巻くのに使っています」とのこと。確かにタオルより使いやすいですね。額に入れた方は、先日zoomでそれをわざわざ見せてもくださいました。

スローライフ運動などと言うと理屈の話のように思いますが、こういうことなんじゃないかな~と思うわけです。確かに物販をするということは、それでいくらかの儲けを出そうと私も考えてはいるのですが、それだけが目的ではない。お金の売上がないから不成功、ということでもないと思うわけです。人間関係に動きが起きたり、関係が濃くなったり、その先で人の輪が広がったりすれば、それも一つの成功だと思うのです。理屈をこねる会議などは不得意でも、手ぬぐいを巻いて写真を撮ることがその人のスローライフ運動かもしれない。槙の小枝を人に分ける、生けることが、その人なりのスローライフ運動なのかも。そう思うと、小さな売り上げとともに、その先で新しい行動や発信が起きたならば立派な儲けを出している、のでは・・・。ま、もっとお金の売り上げがあることに越したことはないのですが。

槙を伐りに山に入っている方と、毎日のように電話している担当は、毎日、和歌山弁を聞いて山の息吹を感じています。先方は、今までなかった都会の槙の使い方にびっくりしながらめんどうな作業に応じてくれています。藍染をされている方は、あらためて地域での藍染文化を調べ勉強されたことでしょう。メッセージ性のある商品を作ることも参考になったはずです。

スローライフの物販はお金以外にも、いろんなことが儲かるということでした。

■奈良県野迫川村「のせ川のまき」

https://www.slowlife-japan.jp/2021/07/30/%ef%bd%93-9/

■埼玉県越谷市「越谷本藍染 スローライフ手ぬぐい」

https://www.slowlife-japan.jp/2021/07/30/%ef%bd%93-33/