スローライフって?

スローライフ運動

「スローライフは、田舎に移住して自給自足することですか?」先日この質問に「それも一つの在り方ですけど、イコールではないと思います」と答えました。都会のマンション暮らしでもスローライフはできますし、田舎でもファストライフの方はいます。その説明に一時間かかりました。フォーラムを開いたばかりですが、今後も真摯にスローライフ運動を続けなくてはと思いました。

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移住政策なのか、田舎暮らし賛歌なのか、そういう情報は多いですし地方でも都会でも都市から地方への移住は歓迎されています。その時に「スローライフ」という言葉がよく添えられているので、「スローライフ」=「地方移住」、そう思う人が多いのは仕方がないことかと思います。でも、それだと、都会から田舎に引っ越して、自給自足的な暮らしをするのが人生の楽園であり、現代の理想だという画一的な考えの押し付け、ある種のブームに思えるのです。

都会での厳しい現実、特にコロナ禍などから逃げだして田舎でスローライフをという現実逃避の流行に乗っている感じ。ま、きっかけは何であれ、都市部から人が動く、農業を始める人が増えるのはいいかと思いますが、そうすればスローライフです!というわけには行かないと思うのです。

田舎暮らしを始めたがために、夫婦が毎日喧嘩、初めての農作業はうまくいかず、自給自足どころではない、空き家を改造してカフェをやりたいために借金までしたのに、お客は来なくて返済に追われる、なんて現実もあります。田舎の景色を眺める余裕もなく、近所の人達との交流はあつ苦しくていや、不便でいいことなくてとうとう都会に戻る、では、スローライフどころではありません。なので、そういうスローライフ理想図は破った方がいいです。理想形を追いかけて地方に移住した都会人から「こんなはずじゃなかった」と言われても、土地の人も迷惑でしょう。

そんな来客のあった翌週には、都会のマンション群の中で、「ハードの修繕計画はあるのだけれど、長期的な人間関係や生涯学習、について、つまりはソフト分野の計画を立てていきたいのだが」という相談を受けました。確かに毎月ハードのためのお金を住民が払う仕組みはありますが、ソフトのための動きはあまりありません。

住民が若いころは運動会やクリスマス会などもあったけれど、今はマンションは高齢化。その中で皆が充実した人生を送るには?これは私から言わせれば、都市マンションの「スローライフプラン」をたてるということになります。もちろん人と繋がりたくない人もいます、一緒になんてとんでもない、という方も多いでしょう。地方の田舎の地べた繋がりの人間関係とは全く違う構造です。一筋縄にはいきません。

でも、これもスローライフの試みだと思うのです。「立派な計画書を作るより、何か楽しいことを数人でもいいのでどんどん始めた方がいい」これまた一時間話してそんな結論になりました。

毎年行われる「スローライフ・フォーラム」、毎月開催の「さんか・さろん」、毎週配信のメルマガ「スローライフ瓦版」、こんなことをアクセク行っていると、なんだか一生懸命スローライフ運動をしている感じに自分ではなるのですが、まだまだ皆さんと一緒に考え広めて行かなくてはならないことがありますね。

先日新聞に筑紫哲也さんのことを書いた本が出たこと、筑紫さんが今生きていたらどんな発言をするのか?などの記事がありました。20年やってきて少々くたびれ気味ではありますが、筑紫さんの写真を見て「まだまだスローライフ運動やってよ」と言われたようで、よっこらしょ!です。

※写真は最近飼い始めたカタツムリ「デンちゃん」。