みんなで照らそう

ゆとりある記

空きペットボトルを持って、集まれ!レタス農家、ジャガイモ農家から声がかかり、雲仙市でペットボトルで灯籠を作る20人のワークショップとなりました。大晦日、ロウソクを灯し、千々石町の棚田を照らします。主婦グループは、ぜんざいを炊いてくれました。ペットボトルだけを山ほど届けた方も。「大きな力でつくらず、大勢の小さな力で」、奈良の大仏がつくられた時の話を思い出しました。

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声がかかってからみんながペットボトルを集め始めました。業者さんに頼めば、ゴミ収集の場にお願いすれば、実は簡単にたくさん集まるのでしょうが、それではみんなであかりを灯したことになりません。2リットルのだって!丸じゃなくて四角だって!なんて情報も回ってきます。東京から行く私としては、段ボールに入れて送るより、現地で水を買ってひたすら飲むという方法を選びました。

で、農作業の小屋に夜集合となったのですが、実はその日の昼間には、餅つきとぜんざい作りも行れていたのでした。呼びかけ人の一人のジャガ農家のお兄さんが、「夜の作業だから温かいお腹にたまるものがあれば」と思って、ちょっと知り合いのご婦人グループに「ぜんざい煮てくれませんか」と頼んだのです。

ご婦人たちは「大晦日、棚田を灯りで照らすなんていい活動だね」と思っても、夜の灯籠作りには参加できません。「昼間にぜんざい煮るのならできるよ」と張り切りました。農家のお兄さんからもち米の提供もあり、餅もついて一口サイズにまるめます。ぜんざいの味が決まらず、「もう少し塩をきかすか~」なんて真剣です。


お兄さんからは「ちっちゃいジャガですけど、皆さん持っていてください」とプレゼント。普段あまり接触の無い、農業青年とおばちゃんたちはすっかり仲良くなりました。そして夜になったわけです。

レタス農家さんが、この催しへの想いを小屋で語ります。集まったいろんな人たちは、お役にたちたいという気もちが盛り上がります。

そして作業。これが実に面白い。ペットボトルの上をカッターで切り落とし、一番下に穴を開け、板にねじ込んだ長いもくねじを下から差し込む。まっすぐにもくねじが伸びるようにしないとロウソクが曲がるので注意。作業はこれだけなので、人手が多いとどんどんできます。あっという間に100個の灯籠ができました。

私は早くもぜんざいに集中。ストーブで大鍋を温めて、そこに丸餅を放り込む。これまた都会ではできない体験。その熱々のぜんざいの美味しいこと。たくわんも美味しいこと。

大晦日にこの灯籠を5メートル間隔に置き、7時頃から火をつけるのだとか。「見てくださいネ」と農家のお兄さんたち。

ぜんざいを煮たおばちゃんたち、ペットボトルを運んだ人達、灯籠作りに参加した家族たち、みんながそれぞれの想いで眺めることでしょう。自分たちの棚田ここにあり!とみんなで照らす催しにむけて、この年末に、いい体験をさせていただきました。

東京から観にはいけないけれど、「あ、この時間、あの人たちが寒さの中、棚田に灯をともしてるんだ」と私は思うはずです。紅白歌合戦なんかより、ずっと美しい、心に届く夜になることでしょう。

晴れるといいなあ~。