「人」のフルコース

美味しい話題

長崎市稲佐山に行く途中、「燈家」というカフェでフルコースをいただきました。栃木県那須塩原市から移住されたご夫婦のお店です。驚いたのは「これは近くの魚屋〇さんおすすめの鯛に、△の◇さんのドレッシングを使って」「▷の◇さんのプチトマト、ドライに」と、料理に必ず人の名前が出てくる。このお店のネットワークに驚きます。一食で何人もの人に会ったようでした。

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「燈家」(あかりや)さんのことは、以前のブログに詳しいです。一番下にURLをつけました。後ほどご覧くださいね。このお店、その後もうかがっていますが、ここのお料理を機会あればと狙ってました。

長崎ならではの坂の途中、小さな店ですが、行くたびに模様替え。飽きさせません。今回は「くんち」がテーマで飾ってありました。

さてメニューです。これと同じものを食べたいとなっても無理。ここのシェフ?赤坂伸子さんの気分で決まるのです。そして、誰でも、いつでもではありません。基本、ディナーはやっていないのです。よっぽど気が向いたとき、気の合う人のために、作る余裕があったら、とかなりの条件付きです。今回は条件をクリア、よかったのでした。

「私が作るんだから、本当に素人料理よ」と赤坂さんはいつもおっしゃいますが、とんでもない。まずはスープと前菜です。「このトマト、雲仙市千々石の山﨑君のミニトマト、もう今シーズン最後のを私が乾かしたの。濃厚よ~」ドライトマトのおいしいこと。

「あ、なんてこった!ごま油かけるの忘れた」「キャベツにたらりとね、、島原市の本多木蝋さんのごま油、本多さんとこのはホントおいしいの」

「今日、○○魚屋さんに行ったら、△△のいい鯛が入ってて。カルパッチョにしたの。べジドリームさんのイチゴドレッシング使ったの。小林さんのドレッシングは安心して使えるし、美味しい。ここで買う人も多いですよ。ドライイチゴがアクセントね」

3人で食べてしゃべってなのですが、口から言葉が出る分、どんどん美味し物が口から入っていきます。「あ、山﨑さんのね。おお、小林さんのね」そのたびに人の顔を思い出しながら。

「うちはホットサンドが売りなんだけど、これ何かわかる?」「サバ?」「サバのなんでしょう?」「???」「みりん干し~~、一番臭みがなくパンと合うの。発見したんですよ」

「雲仙鶏は、アイアカネ工房、鈴木さんの藍の塩で食べてくださいネ」「那須塩原の仲良くしているハーブソルトでもおいしいですよ」

「このリゾットは簡単なの。ズッキーニとご飯を“アゴだし”で煮ただけ。あとはチーズをたっぷり」「アゴはトビウオのこと、この袋入りのインスタントのだしがすごく便利。スーパーにも売ってますよ」だんだんお料理教室みたくなってきました。では、その“アゴだし”をお土産に買っていきましょう。

手作りデザートもたっぷり。赤坂さんが長崎県に移住してから知った、こちらのミルクセーキ(シャーベット状です)も」

食事仲間は、かたや「もおおお~~、満腹」とお腹を押さえ、もう一人はエネルギー補充して身体が自然に動きだしたようです。

「こちらに来てからいろんな方と知り合って、お世話になって、その方々のものを使わせていただいてありがたいんです」と赤坂さん。どこのものだかわからない、ただ安いからと仕入れたものを使って出すお店では、何を口に入れるのか心配ですが、こういうお店なら、自分の身体を預けられます。

食べ終わったらすっかり夜。「長崎の夜景の燈りのひとつになりたい」、と思ってこのお店を始めた赤坂さん夫妻。輝く燈りのひとつにしっかりなっていました。今回、私はハーーブティーにしましたが、ご主人の淹れるコーヒーも絶品です。

季節が変わったら、また頼み込んでフルコースをお願いしましょう。今度はどんな方々のお名前が次々出てくるのか楽しみに。

坂のまちの赤坂さん