パンフレット配送大作戦
和歌山県紀の川市で3月から始まる「紀の川フルーツ体験!ぷるぷる博覧会」略して「ぷる博」のパンフレットができました。
35000部を行政が配れば簡単なのでしょうが、企画も編集もずっと市民中心に進めてきた催しです。
ここも市民力の見せどころ、寒い倉庫でぜんざいを食べながら50部ずつ梱包し、配送リストから自分が行くところを選んで出動。
大作戦は今、終盤に入りました。(今回のブログの半分の写真はは、紀の川ぷるぷるクラブのフェイスブックからお借りしています)
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これがそのパンフレットです。フルーツをテーマにまちおこしをする紀の川市の「フルーツ・ツーリズム」の話題は何度も書いてきましたが、ここ数年間の活動のいよいよ山場です。
3月5日から4月9日の約一カ月間、紀の川市全域でフルーツにちなんだ体験催しを65個開催します。
桃のジャムを作ろう、フルーツバーガー食べよう、フルーツジェラードでパフェを作ろう、アウトドアクッキングしよう、フルーツ一杯のパンを焼こう、フルーツアクセサリー作ろう、フルーツバルで飲もう、テーブルフォトを学ぼう、フルーツ缶バッチ作ろう、フルーツカルタ大会、ダンボールハウス創ろう、選果場を見学、フルーツトレインに乗ろう、ハッサクオブジェで記念写真撮ろう、etc。
まあ、よくもまあたくさんの、プログラムが集まったものです。
市民が企画し、市民が交渉し、市民が原稿を作り、市民が写真を集め、市民がデザインし、市民が校正し、出来上がったパンフレットです。
みんな愛着があります。
35000部のパンフレットが市役所の倉庫に搬入されるとき、フェイスブックで集合がかかりました。
「矢印の建物に、あったかい恰好して集まれ~。暖房はないよ~」
1月19日到着、すごい量!これをみんなで50冊ずつに梱包して、1月中には世の中に出し終えます。
まずは配達された、トラックのお兄さんにもパンフ贈呈。「気に入った催しに、ぜひ来てくださいね」
このエリアのここに何部、そういうリストをあらかじめ作成。それを仕分けていきます。
お母さんと一緒の子どもたちも活躍。
冷え切ったころには、ぜんざいの差し入れが。フルーツ・ツーリズムの活動では、何かしら美味しいものが登場します。
シールになるはずだったあて名書きが、上手く印刷できずに急きょ手書きに変わったり。
2日間かかるはずだった作業が1日で終わり、その連絡が上手くいかないで、2日目の朝、倉庫にやって来た人がいたり。
役所主導の作業でないので、必ずすったもんだがあります。でもこんなことをもう3年もやってくると、みんな慣れてきました。
○○でなきゃダメ、ではなくて、▽▽でもいい、となんでも思えるようになります。
みんな強くなりました。
1月22日には毎月のワークショップ。この日集まったフルーツ・ツーリズムのメンバーは、配送リストから自分が持って行けるところを拾い出し、その分のパンフレットを台車で運び帰りました。
何時、誰が、何処に、何冊持って行くか?リストがだんだん、埋まっていきます。
そして1月24日は「パンフお渡し会」。この「ぷる博」でなにかしらの催しを主催する市民を「仕掛け人」さんと呼びます。
必殺?のようですが、これも「案内人」や「説明者」なんてやわなものでなく、しっかり自主運営してもらいたいからと市民事務局で決めた呼び名です。
仕掛け人さんには、ここでのぼりやポスターと一緒にドッサリとパンフが渡されました。
フルーツ・ツーリズムは昨年暮れに「一般社団法人」になっています。ですから、お金には少々シビアです。
仕掛け人になるには、参加費1万円を支払います。ま、35000部のパンフで宣伝してもらえるのだから、そうそう高くはない。
ツーリズムメンバーも、私も、県庁職員さんも、地域おこし協力隊も、みんな催しをやるからには支払う。こういう習慣が、次回の「ぷる博」に繋がるのですから。
雪で車がつかえない、子どもがもどした、熱が出た、市民事務局はいつも突発的なことがあります。
もちろん市職員も現場には居るのですが、市職員が仕切ってはいけません。
企画運営できる市民が少しずつ育っているのですから、市職員は邪魔しないように黒子になる。
30分前まで司会者が決まらずに、でもどうにか会合がスタートしました。
説明資料や参加者アンケートなどに、まちがいや抜け落ちがボロボロ。でもみんなが笑顔でガンバロウ!の記念写真を撮れたのは、みんなで支え合って創っていこうという気持ちの表れでしょう。
誰かを責めることは自分を責めることになる。失敗を活かして、今後に繋げよう、が基本ですものね。
お渡し会欠席の仕掛け人さんへ、市外のホテルへ、市外の観光施設へ交通機関へ、コンビニへ、スーパーへ、パンフ届け隊は出動していきます。
2人で回れば、長い1日、車の中でいろいろ話し、普段より濃いコミュニケーションができます。単なる配送でなく、その時間を活かさなくては。
雪の日に、朝からいくつも梱包を持って回った主婦の方いわく。「パソコンや難しいことは不得手だけれど、こういうことならできるから・・・」
娘さんと一日配送作業をしたお父さん。「知っているようで、まだ知らないお店や、場所がありますね。配送をしながら新しい出会いがあってうれしいですよ」
頭が下がります。
近くの自治体に話を通して、大口の配送をやってのけた農家さんもいました。
普通なら、市職員が頼みに来るのに、桃農家が興奮して体当たり説明にやって来た!ま、それが紀の川流。先方は驚いたことでしょう。今度はこちらが引き受けなくちゃね。
「お店にぷる博コーナー作りました~」なんて写真も送られてきます。
私が買い物をしたパン屋さんでは「今回催しには参加できなかったけど、パンフは配るからね」とわざわざ挨拶に。
そして、東京のわがNPOの事務所にも梱包が。皆さんパンフがほしい方、お声かけくださいね。
さあ、これを全国の私の知り合いに配りましょう。
イベントとは、何かが起きること。「ぷる博」開催は3月からですが、実はもう大きなイベントは起きているわけです。
パンフ配送体験催しを皆が体験中なのですから。今までにない新鮮な経験です。お金があって、すべて宅配便にしたのなら、配送での出会いや発見もなかったでしょう。コミュニケーションも進まなかった。
時間はかかって、大変ですが、この作戦で紀の川市民はまたひと回り大きくなったようです。
それにしてもみんなが本気になると強い、婦人会に、ヨガのグループに、太鼓の会に、知り合いの美容院に、いつも持っていて通りすがりの人に、と分けているのですからきめ細かくてどんどん広がっていく。
どこかの観光協会で、立派なパンフレットやポスターが山と積まれ、廃棄になっていくのを見たことがありますが、もうそんな時代じゃないんですね。
35000部があっという間、いまやパンフが足りない?という悩みを抱えつつ。配布リストの「完了」という文字を眺める私でした。
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