お雑煮談義

ちょっとしたこと

毎年暮れに、我が家では必ずお雑煮の話になります。

私は千葉出身で角餅派。夫は広島出身で丸餅派。丸だ四角だと、お互いこだわるわけです。

それが先日は、岩手県山田町でクルミ雑煮をいただきました。おすまし風お雑煮の角餅を、引き上げて甘いクルミだれにつけて食べる、独特の雑煮です。

こんな食べ方もあったんだとびっくり。このお正月、丸と角をクルミで食べましょうか・・・。

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(下の写真3枚は奈良県十津川村の丸餅)

丸餅、角餅についての話題は、よくマスコミでも取り上げられますが、家庭ではどっちを買うかですから、現実的です。

私が小さいころ、千葉市の実家あたりでは、搗いたお餅を大きな箱に広げ、まずは長方形にのし餅にして、切り分けていました。

家で搗かなかった実家では、「今年は米屋さんに何枚頼むか」という風に注文していました。

暮れに、まだふにゃふにゃしたのし餅が配達されます。これを切るのは父と姉・私の役目でした。

すぐには切れませんから、1日おきます。固くなりすぎなうちに、玄関などに新聞紙やゴザを広げて。

まな板と包丁が用意されて、いざ!でした。大根も用意し、途中で大根を切ると包丁がべたつかないのでした。

なかなかコツがいり、「切りたい」「いや危ない」などのやり取りをしながら、父と切り分ける作業が楽しかったものです。

ふざけて三角形になどすると、「それは智子が食べなさいよ」と怒られました。今でも、あのお餅を切るグサッとした感触を覚えています。


そんなふうに育ってきましたから、丸餅はショックでした。
家を出てから、あちこちの地方を回り、スーパーで丸餅ばかりを見た時は、こんなものかと思ったものです。

夫は、丸が当然と育ってきたわけですね。だから「サトウの切り餅」というのを見たときは、四角い特別な切り餅という固有のものと理解したそうです。

私の姉は実家にずっといた人ですから、当初夫がお正月に実家に行ったときは混乱しました。

丸餅の話を聞いて「ええ?!お正月にみんながお供え餅を食べるの?」と。丸い餅はお供えしか知らなかったのです。

いやいやと否定しても、のし餅しか頭にない姉は「じゃあ、のし餅を丸い型で抜くの?抜いた耳はもったいない」そんな会話が続いたものです。

今、私が通っている、和歌山県紀の川市は当然丸餅。周囲に聞けば「角餅、ってどうやって四角にするんですか?」と質問を受けます。

家の建前の時だけでなく、何かといえば餅投げの盛んな土地ですから、当然、痛くない丸でしょう。

同じく通っている奈良県十津川村も丸。以前の写真を載せましたが、とにかく丸餅ですね。皆さんの土地はどうですか?

雑煮の具も話題になります。わが実家は、鰹節出しで、醤油味、小松菜だけ。

夫は鶏肉と蒲鉾、三つ葉など。いまや、我が家は混ぜて具沢山雑煮になっています。

(下の写真4枚は岩手県山田町白石で)

それが、先日は「クルミ雑煮」を体験しました。岩手県山田町です。

美味しい味を「クルミ味がする」と表現するほど、クルミにこだわる地方だけあって、正月の雑煮にクルミは欠かせないとのこと。

「雑煮の餅を甘いクルミだれにつけて食べるんだよ」と聞いたのですが想像できない!?

すると先日、集落のお母さんたちがわざわざ作ってくださいました。和クルミをホジホジし、それをスリスリし、濃い砂糖湯でのばす。これがクルミだれです。

そして角餅を普通にお雑煮の中で煮て、それを普通に盛り付け、食べる際に、やおらクルミだれにつけて食べる。

クルミを直接つければいいと思うのに、そうではない。一回普通に雑煮にしてから、です。クルミだれまで含めて雑煮なわけです。

山田の人は「クルミでなくてどう食べる?あ、ゴマにすることもあるけんど」と。

う~~ん、丸だ角だ、でもめていたなんて、まだまだかわいい方でした。こんなに違う雑煮もあるのですから。

新年もまた、各地の食べ物や人との出会いを楽しんでいきましょう。皆さん、良いおもちを!