緑化工場
先週の「瓦版」で、キリンビールの「○○づくり」が話題に出ましたが、先日私は緑化に熱心な企業ということで、そのキリン横浜工場を見学しました。
ビアレストラン回りには緑があって当然と思っていたのですが、その質と量にびっくり。
海抜の低い土地に大木を育て、住民の避難場所にもなる芝生広場にはバッタの逃げ場も。ビオトープも整備。公園のような散歩道は、近所の保育園や高齢者も利用。
殺風景になりがちな工場でも、努力すればできるという見本です。
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もともと横浜はビール産業発祥の地、1870年・明治3年にビール工場ができたそうです。
そしてキリンビールのもととなる日本の工場ができたのが1885年・明治18年、1888年にはキリンラガービールが売り出されたそうです。
その後、関東大震災で工場は倒れ、1926年・大正15年に今の場所生麦に移転。そして1991年に大規模なリニューアルの時から緑化が本格的に始まったそうです。
地元の人にとっては、産業の象徴のようなビールのタンク、その工場を地元の人に愛され使ってもらえる緑地にと。
あちこち見せていただいたのですが、ここでは割愛。一般の方が入れるところだけの記録にとどめますね。
とはいえ、文字だけでお伝えすると・・・社員の方々が毎日必ず通るという400メートルの通路は、足元も壁面も緑。季節の花も咲いています。
その緑のフェンスの向こうは、ビールを運ぶトラックが行き来しています。トラックの運転手さんも緑を横目に出荷。
研究棟も大きな木が屋上までにょきにょき。緑を見ながら、研究開発できる。なんともうらやましくなる職場環境でした。
一般の人が工場見学ツア―などで訪れる入口。高速道路ができても、シンボルツリーの楠の木は残したそうです。
増築工事中のエントランスプラザにも、壁面緑化が。何かできれば必ず緑化、というルールがあるのかもしれません。
ビールが楽しめる「ビアビレッジ」の横辺りから、緑の中をそぞろ歩けます。
まるで公園のような一般開放エリア。かつてはツツジの寄せ植えが主。2012年から多様な植栽をしているtのこと。
近くに住んでいれば、毎日お散歩したくなります。
ハウベと呼ばれる鎧屋根をもつ二つの煙突は横浜のランドマークだったとか。いまは使っていないのですが残してあります。
この「ヒルトップガーデン」は、普段は家族連れが遊ぶところ。そして災害時には一次避難場所にもなるそうです。ここまでくると、もう工場という感じはないですね。
実はこの芝生の丘の下を、トラックが走り抜けているのだそうです。物流とお客さまの世界を上手に分ける工夫です。
「エコパッチ」という、バッタの逃げ込み場所もありました。
バッタは近くの保育園の子たちのお友達です。
「ビオトープ」も。高速道路の下、ビアレストランの横に作ってあります。観察会やツアーの場にも。ビールをにぎやかに飲む人間たちをよそに、トンボたちがすいすい飛んでいました。
パートナー会社の社員さんが常駐管理体制で緑世話をしています。
ここに遊びに行けば、このガーディナーさんにいろいろ園芸のことを相談できる。
取材していて、なんだかうらやましくなりました。緑化などこれっぽっちも考えない企業もあるのに、近くの住人や社員の方々はいいなあ~。
ご案内いただいた方からは「水と農産物でできているビールです。自然や緑を大切にするのは当然」との言葉がありました。
本当は世の中全体が、「当然!」になるべきなのでしょう。
量より質を目指すというビールをいただきました。知的な味がしました。
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