カメ太とカメ吉

ちょっとしたこと

ご近所でカメを飼うお家が2軒。高齢のおじ様が散歩させているのはカメ太、小学生の男の子のお友達はカメ吉です。コロナ禍でペットが人気だそうですが、庭が要らず、鳴かない、都会のペットとなるとカメあたりなのでしょうか。地縁というほどでもない、たまたまのご近所ですが、カメを通じて会話が弾みます。遠くに出かけられない今、この2匹に皆が癒されています。

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いずれも、よくお祭りの露店で売っているミドリカメです。買ったばかりでなく、ある程度の時間が経っていて、そうそうチビではありません。なので、コロナの流行が始まってから飼ったペット、ということでもないのかもしれません。だから、私の方が、このコロナ禍でこのカメたちに目が行ったのでしょう。今回は肖像権もあるので???、カメ太とカメ吉の写真はありませんが、2匹2人の遊び場というか、散歩の場所をご紹介しましょう。

 

元新聞店があったところ、その店の前の道路沿いのへりの部分がカメ太の散歩道です。おじさまはここまでカメ太を片手で抱いてきて、やおらこの花道のような細いまっすぐなへりの道に置きます。すると、パタパタパターーーーっとカメ太は走り出します。走るというよりジタバタしているように見えるのですが、これが意外に早い。すーーーーーーーーーーーと花道を進みます。

「早いんですね」と私が感心すると「そうだよ」とおじさまは自慢げです。それからしばらくカメ談義。家の中にどうも水槽のようなのがあり、そこで飼っているらしく、「いつでも陸に上がれるように、登れる坂を作ってある」のだそうです。水槽の中に、陸地もあるのでしょう。「夫ばかりが見ていて、今日、私、初めてゆっくり見たんです」「だいたい散歩は今頃、12時半からぐらいだね。その頃おいで」とおじ様。そうは言われても、その時間にこの花道に待つわけにもいきません。

わが夫は、ずいぶん前からこの散歩につきあっていたようで、「今日もあのカメのおやじに会った。あんたが見たがっているって言っておいたよ」などと報告が届いていました。そして最近は、「あのカメのおじさん、この前大通りで会ったら、遠くから大きく手を振るんだよ。あんな不愛想だった人が」とのこと。どうやらカメを通じて、おじさま同士の交流が起きているようです。

カメ吉のフィールドはお家と塀の間のスペースです。ここには傘が干されていたり、洗った運動靴があったり、自転車があったり。多様に使われる場所。ご主人の男の子の気が向いたときドッグランならぬカメランの場所になります。ここではカメ吉が自由に暴れまわっています。時には這いあがりそうになる。そうすると男の子は、戻す。また這いあがる、戻す。の繰り返し。その横でお母さんが淡々と、エアコンのフィルターを洗っていたりします。

最初のころ「なんて名のカメ?」「カメキチ!」その男の子のうれしそうな顔が凛々しいものでした。最近は、わが夫婦と会うと、「カメ吉は?」と聞く前に、玄関からつかんで出してきてくれます。どうやら玄関に水槽などがあるらしい。この前、男の子は野球のユニフォーム姿。「ポジションはどこ?」と夫、「ショート」と彼。今後はカメ吉以外の話題も広がりそうです。

そしてこの2匹はどうやら知り合っているらしい。おじさまに「カメ吉ご存知ですか?」と聞くと、「ああ、あそこのうちの子のね」。少年に「カメ太知ってる?」「ウン」。いつか、2匹一緒に居るところを見たいものです。でも一緒にしたら、主はそれぞれ自分のカメを間違えないでいられるのかしら。

ごく最近、おじさま曰く、「そろそろ日差しが強いからね、この道路での散歩も終わりだね。暑くて手のひらやられちゃう」と。カメの手のひら?犬の肉球というのはわかるのですが・・・。でも、私は妙に納得したのです。「涼しい日はまたよろしくお願いします」。