農家で楽しむ

ちょっとしたこと

果物狩りが盛んな季節です。でも収穫だけではもったいない、果樹畑や農道、農家そのものが、とても魅力的な装置、都市住民は小さなことで大喜びです。

藪の中の色鮮やかな木の実、高枝切狭の扱い、ミカンの片手切り、段ボールのホチキス止め、スダチ・レモン・ライムの食べ比べ。

立派な仏間を見学、庭で家族とバーベキュー。農家にとっては普通のことが、とっても楽しいのでした。
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遊んでくださったのは、紀の川市のこのご家族です。4人のお子さんのある桃農家。桃以外にも、キウイ、柿、ハッサクなどいろいろ作っていっらしゃる。

奥様は子育てと家事でてんてこ舞いで「畑に行くなんてほとんどない」ということ。もっぱらご主人が「農」の担当。

でもこの日はパパさんも、農作業を休んで、一緒にのんびりしてくれました。農道をぶらっと歩くだけで、いろいろな宝物が見つかります。アケビなどの食べられるものはもちろん、カラス瓜やウメモドキなどの赤やオレンジ系の実も。

この実はブルー系。何だろう?きれい、きれい!お嬢さんたちも声を上げます。

しかし、斜面の畑に行くにはこの道を登らなければならない。景色は素晴らしいのですが、転がり落ちたら大変なところに延々と果物畑が作られています。一日ただ楽しむのなら、素晴らしい眺望なのですが、毎日ここで作業をするのは本当に大変でしょう。

だから、放棄された果樹園もあちこちに。高齢になったら急斜面で重い果物を収穫するのは、無理。たわわに実った柿は、動物たちの餌になります。これを食べて、おなかを満たしてくれれば、下の方の畑を荒らさなくなる、という役割もあるそうです。誰も来ない柿畑で、熟柿がボトッと音を立てて落ちる。そんなことが山の中で、繰り返されているんですね。

さて、ミカン切です。片手切りというのがあるそうです。人差し指とハサミでミカンを捉えてパチンと切る。そのあと、わずかにヘタについたミカンの枝のなごりをさらに深く切る。他のミカンを傷つけないように。「なんて、私、教えてるけど。うまくできないの~~~!」と、奥様大笑い。

採ったミカンを入れるかごは「ビク」と呼ぶそうです。取るほどに重くなる。横のコンテナがまた優れものですね。物を運ぶだけでなく、踏台になる、イスになる、テーブルになる。畑にほおられていても、腐らない。一つ東京に持っていきたくなるのですが、こらえました。

私が気にいったのがこの高枝切バサミ。もちろん都市部でも使われていますが、私は初めての操縦?切る方と、枝をもつ方と、刃の向きが違う。そんなこと当たり前と言われそうですが、それが面白い。あっちこっちの、かわいい木の実などに届いてぱちんと切れる。切っていいものが沢山あるということも嬉しいわけです。

いろいろな食べ物を収穫し、飾り物も摘み取ってきた後は庭先でバーベキューです。火をたくこと自体ができない都会ですが、ここでは自分のうちの庭、駐車場が広い広い。お隣といってもずっと先、だから大声で話したり笑ったりもできる。

マンションの下の人へのスリッパの音を気をつけ、上の階の人には大声を気をつける、そんな縮こまった暮らしが吹き飛びます。通りがかりの近所の家族も加わって、おお、子どもがこの時点で6人!パパとお兄ちゃんが焼いて、ママとママ友、私がお酒を飲むという構図です。

さっき採ってきた、スダチ、レモン、ライムをそれぞれ絞って、食べ比べなんてことも。

デザートは少学6年生のお嬢さんと奥様作のバラ型アップルパイでした。

農家というのは大変でしょう。と、軽やかに言えないほど大変だと思います。でも、こうして暮らしに少し混ぜていただくと、なんて豊かな暮らしなのだろうと、うらやましくもなります。経済的に保証されれば、こうした暮らしのほうがずっと人間的で、子供たちも健全に育つはずです。

コンクリートの箱に押し込められて、ストレスいっぱいの母親、ほとんどいない父親と、ギリギリせめぎあうような時間を過ごす、自由になるのはパソコンの世界だけ。そんな都会の子が、健全な心と身体を持てるか?といつも思います。

今回お邪魔したご家族の伸びやかなこと。おおらかな奥様と、本当の意味での知的なご主人。スローライフをさりげなく丁寧にコーディネートしてくださいました。

母屋の仏間には、さりげなく地元の有名画家の絵が飾られています。ミカンと柿の絵です。こうしたお部屋が普段空いているのなら、時々、泊まらせていただいて、お邪魔にならないように農家の暮らしに混ぜていただいて、きちんとお支払いもする。そんな農家民宿などしていただけないかなあ~~。

放置されていたよそのおうちの畑も、ただの農道も都会人には魅力山盛りなのです。

※今回、私は相当楽しくはしゃいでいて写真をあまり撮っていません。奥様の写真をいくつかお借りしております。