南牧村で食べたもの

スローライフ運動

短い滞在でも、貪欲に食べました。

「ほうとう」のような「おっきりこみ」、鰻重ではない「鱒重」、南牧キュウリの浅漬け、カボチャのサッと煮、炭とチーズの入ったお饅頭、おいしいお米のしっかりしたおむすび、名物コンニャクのお煮しめ、などなど。地元の話をうかがいながら食べればおいしさは倍増です。

まだまだ食べきれない魅力がいっぱいの、群馬県南牧村でした。

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9月13日に開催した「スローライフ・フォーラム南牧村」。事務局は大変ですが、裏仕事だけに体験できること、味わえることがあります。

お世話になったスローライフ学会会員の「南牧自動車」神戸さん、ご主人が「山の斜面に住んでいる南牧でも、一番大変なところに連れてってやるよ」と、夜道の急斜面をくねくねと登ってくれました。

写真には写りませんが、車のエンジンの焼けた臭いからして、どのくらいの斜面かわかります。「昔はここを歩いたんだから。こういうとこに嫁に来たら大変だった」とのこと。

お邪魔したお宅の縁側には、背負子一杯の青い実が。「柿の青い実?」かと思ったら、クルミだそうです。

「これを土んなかに活けておいて、外を腐らせてから中の実をとるの」とここのお母さん。「ほら上がっていきなさいよ」と土間でお茶を呼ばれました。


そこに帰ってきたお父さん、は手に植物の根っこのようなものを持っています。「杖にするに、これが軽くていい」のだそうで、これは木というより草の大木?これで作った杖が近くにありましたが、本当に軽い軽い。

こういうところに住む人は、手近のどんなものをどうして使えばいいかを知っています。

お茶請けに出たのがキュウリ。ザクッと切って、サッと塩をしてあります。漬物というより今、塩をまぶしてくれた感じ。これが美味しいのなんの!


その正体はこの巨大なキュウリ。杖のお父さんいわく「こりゃキュウリというよりウリだよ。売らないけどウリ」なんて言って大笑い、です。

南牧キュウリと言ってこの辺ではみな、作って食べているとのこと。市販のキュウリのようにたくさんならないので、生産向きではない。それだけに口を運ばないとこのサクサク感は味わえません。


南牧村の山側のお隣は上野村、ここの温泉に南牧の人は出かけます。私たちも連れて行っていただきました。で、途中にあったマスの釣堀・民宿、戻るとそこから夕飯が届いていました。

神戸のとーちゃん(失礼)いわく、「あんたら鰻重は食べたことあるだろうけど、鱒重は初めてだろ」確かに!

マスを開いて天ぷらにして、甘辛いたれをくぐらしてご飯にのせてある。これが美味しいのです。こんなマスの食べ方は初めてでした。南牧でたべた上野村の味。隣の村といっても住む人は、上手にお隣をこうして使っているのでした。

おつゆ替わり?にいただいたのは「おっきりこみ」。言葉でいうとこうですが、書けば「おきりこみ」となるのでしょうか。

要は、「ほうとう」ような「すいとん」のような。小麦粉をこねて作った極太麺状のものが、具だくさんのお味噌汁に入って煮込んだもの。お米の作れない、南牧の地の名物です。

こういう粉ものは、食べると落ち着きますね。翌日の朝、汁をたっぷり吸ったものが、また美味しかったです。


南牧では川の流れる音がいつもしています。そして朝は、たくさんの鳥の声。さえずりがまるで降ってくるようです。


「昨日、誰かが置いててくれた」地元のカボチャを神戸のかーちゃん(失礼)が、朝からサッと煮てくれました。紫蘇ジュースと一緒に食べる、さわやかな朝ごはん。


さあ、フォーラム参加者がやってきました。高速バスが遅れ、バスで来た方にはあわただしい食事となりましたが、「おいしい、おいしい」の声が飛び交います。


元幼稚園だった建物が今「ビアカフェBB]という名で、地ビールとピザの店になっています。そこにお願いして、この日は南牧らしいお惣菜とお結びを作っていただきました。ここの80歳代のお母さんが腕を振るってくれました。


もちろん、南牧村が発祥の地といわれるコンニャクの煮しめも。こういうものをみんなで楽しく食べていれば、身体はどんどん元気になりますね。


もちろんここの自慢のピザもいただきました。そう、田舎の味だけではちょっと寂しい、このピザの一切れは満足感を作ってくれます。しかもここのピザは炭入り。南牧村は“炭食”を推進していて、ここの生地は確かに黒いのです。

黒いからと言って、味が劇的に違うということはありません。まちなかの食堂には炭ラーメンも炭焼きそばもあります。炭は身体の毒素を出してくれるとか?なんとなく時々食べなくちゃと思ってしまいます。


お土産にも炭ものがありました。細い炭に見える飴と炭饅頭です。両方に「森林のお炭つき」という名前がついていました。

1泊ではありましたが、おいしかった南牧村です。高所に住む話、杖やキュウリの話、おきりこみの作り方、コンニャクの話、炭の話、いずれもおいしい物には地元の方からのおいしい話がついてきました。

味と話はセットでおいしい。気ぜわしい都会では体験できないことです。一度くらいではわからない魅力がいっぱいの南牧村、これから長いお付き合いになりそうです。ご馳走様。"