干す島

お仕事で

鳥羽市・菅島は風の島。風は生活の一部、風と日差しがあるからこそ、海草は乾くし、魚も乾く、そして美味しくなって、保存もできる。

この風を嫌がらずに前向きにとらえて、干す文化を育てていこう。そんな動きが起きています。

島を歩くといろいろなものが干してあって、実におもしろい!究極の干し物として、伊勢海老干物も登場。10月8日、その“千匹干し”も予定されています。
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このワカメがなびいているのは去年3月。風が強い日は、真横にまでなびきます。

これは先日9月末に行ったときの港。アラメが気持ちよさそうに干されていました。

島のあちこちに、家々には必ず、こういう干し場があります。普通の洗濯バサミより大きめの物がズラリ。

魚は何でも干しています。これは自家用でしょう。サンマに、サバに、アジに・・・・。少しずつ味醂干しに。

手袋も干します。

作業着も干します。

階段にも干します。

一輪車も干します。

ゴザも畳も干します。

浮きも干します。

もちろん布団も干します。

これは?男干し?

この日は風がありませんでしたが、強いときは息もできないほど。その風に吹かれると、つまり“海風浴”すると、ストレスや身体のアクのようなものが吹っ飛んでいく感じです。

しかもここの風は、風向きからいって伊勢神宮から吹くありがたい風です。

その風は、最高の調理人。お魚を乾かして、干物という旨味を創りあげます。

干物文化を極めて、最高の干物をと「伊勢海老の干物」を提案したのは、一昨年のこと。

写真は、10月30日、いまから約2年前に初めて「伊勢海老の干物」を実験で作ってみたところです。

伊勢海老漁のさかんな菅島の人ですら、食べたことのない干物です。おそるおそるの試行でした。

旅館の方々が集まっての試食はおいしい!の連発。そりゃそうです、伊勢海老ですもの。

このことは今年の3月にブログに書きました。
「伊勢海老を干物に」
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=148&cat_id=3

で、その後、伊勢海老の干物を作る体験ツアーなども行われ、山ほどのマスコミの取材も受け、干し方の研究も重ね、菅島は伊勢海老干物を自分の物にしていったのでした。

今回訪れた時は、旅館組合、自治会、漁協などの方々が集まって真剣な話し合いの場面でした。

10月8日に行われる「伊勢海老千匹干し」の具体的な打ち合わせです。

式年遷宮を記念して、伊勢神宮にささげるとともに、鳥羽の菅島の干す文化を全国にアピールしようというわけです。

どうやって干すか、周りには大漁旗を飾るか、看板や浜までのサインはどうするか、試食してもらったら飲み物も必要だろう、何より雨の時の判断は、などなど、話は尽きません。

2年前は「伊勢海老の干物なんて聞いたことないよ~~」と言ってた人たちが、今、1000匹を干すことに挑戦している。
この様子を見ながら、私的には胸が熱くなったわけです。

伊勢海老がたんまり水揚げされる菅島。千匹干しをやり遂げたら、ここをスタートに「干し食」「干し文化」をあらためて研究し、育てて行きましょうね。