チューリップ

ちょっとしたこと

大好きな花です。真冬から顔を出し、葉の先を凍えさせながらもギュンギュン伸びて、今頃、パカッとたった一つの花を咲かせます。

あまりに一般的な花なので、誰でも何かしらの思い出があるのでは?

父が私のために植えてくれたっけ、知り合いのおばあちゃんが病床から見えるように私も植えたっけ。

今年は夫とオランダ大使館の花を見て、またチューリップの思い出ができました。

私がチューリップを喜ぶので、父は毎年チューリップを植えました。といっても貧乏な昔のこと、球根を太らせ分けて増やすのですから、赤・白・黄色と色や形も決まっていました。

植える鉢は直径50cmくらいの大鉢で、これも毎年同じ。父とおでこをぶつけながら、球根を埋めたものです。

芽が3センチくらいに伸びた時、たいてい春の雪が降りました。少し解けると、チューリップの芽の周りだけが輪っかのように丸く土が見え、チューリップの芽は温かいのかな?と思ったものです。

実家の近くにある谷津遊園地へ春の行楽、お弁当を持って家族でチューリップを見て。これも毎年のことでした。

家を出てからは、すっかりチューリップにご無沙汰でしたが、知り合いのばあちゃんが病気になり、ほとんど一人で寝るようになったとき、テレビ以外に見て楽しみにできるものを、と久しぶりにチューリップを植えました。

寝床から見えるところに、プランターを5つずつ3列計15個並べ、どれもにチューリップを植えました。

「芽が出てきたよ」「つぼみが出てきたよ」「赤いのが最初に咲きそうだよ」チューリップの成長を楽しみに、おばあちゃんは何年か生きてくれました。

チューリップの太い芽と力強い葉と、空に伸びる茎、陽気で単純な花の形は人に独特の元気をくれるのかも知れません。

※この写真以外は全てオランダ大使館のチューリップです。

昨年秋に、新潟県胎内市のチューリップをいただきました。キャンペーンに無料配布されていた球根なので小ぶりです。「東京で咲くかな、一度、相当寒くならないと咲かないから」と胎内市の方が心配してくれましたが、私のNPOの事務所で、かわいい花をつけてくれました。

折りしも春の嵐で、風雨ともにひどい時の開花。1日で散るかと思っていたら、1週間も咲いて。北のチューリップは強いです。NPOの事務所のベランダにパッと春がやってきた感じでした。

うちの近くのオランダ大使館公邸の庭が一般公開され、チューリップが見ごろと新聞で知り、昨日行ってきました。2日間の公開に、いったいどのくらいの人が押し寄せたのでしょう。

2~3000人?という私に、同行した夫は「1万人位はいたよ」と反論します。そのくらいの混み方、行列でした。

小さな公邸の庭に一度に入れるのは200人とか、2時間並んで、居るのは20分ほど。それでもみんな笑顔で帰るのは、やはりチューリップ力なのかもしれません。

さすがオランダのチューリップ、形や色は様々。来年は、胎内のチューリップと混ぜてオランダ産の変わったものも植えましょうか。