とちぎ「食」の回廊

お仕事で

栃木県では10の「食の街道」を定め、それらを結び「回廊」とし、地域を巡ってもらおうと計画中です。

先日この回廊を意識した「創作料理フェア」が宇都宮でありました。県産品を徹底利用したアイディア一杯のお料理を味わっていると、地元食材を活かす可能性は大と実感です。

それには、多少の手間とお金がかかってもよしとする、作り手と食べる側の覚悟が必要でしょう。


先ずは私が、「“食”の力で都市と農村の交流を」というテーマで少しお話。“食”を真ん中にすえての交流おこしは、老若男女誰でもが自分のこととしてかかわれる。“食”には地域色が強く出せる。交流はだんだん深く広く。というようなことを話しました。(この写真は那須町「なすとらん倶楽部」渡辺伸子さん撮影をお借りしました)

とはいえ、私も含め160人の参加者は、第2部のご馳走が気になって、気になって・・・。

さてお料理を担当されたのは、会場であるホテル東日本宇都宮のシェフたち。和・洋・中の各分野のシェフたちが、「食の街道」ごとの食材で新しい味をとチャレンジしてくれました。

たとえばニラ。私なら、お浸しか炒め物程度。それが、ニラならではの緑の色を活かしたこんなお料理になっています。

「ニラとパンチェッタのセイボリータルトキッシュロレーヌ風」

「県産ニラのスフレ」

「ニラ味噌蒟蒻の田楽焼き」

そして蕎麦なら。普通のお蕎麦か蕎麦がき、最近は蕎麦クレープも、くらいですが、今回はこんなお料理です。

「そばの実入り十五雑穀米のアランチーニパルミジャーノ風味」

「そばの実入り和風コロッケ」

「そばの実の杏仁豆腐」

どれも少量ずつなので次々とおなかに入り、みんなが笑顔になっていきます。

極めつけはこれ、干瓢ですよ!干瓢を戻し、ジャスミンティーで煮てその後水分を飛ばし、油で揚げてあるとか。半分にはチョコレートが付けられ、半分には塩味が付けてある。

こういうことを思いついて、形にできるのが本当のプロですね。これは、生まれてはじめての美味しさ。目からウロコとはこのことでしょう。私の中の干瓢のイメージがガラリと変わりました。料理名は写真でご覧ください。

「地産地消」といっても「地元のものは形大きさが一定でない。年間そろわない。買い集めるのに手間、業者から一括仕入れが楽」と、なかなかホテル・旅館・レストランなどでの地元食材使用は進みません。

「身土不二」といっても、実は食材のほとんどは遠く海の向こうからやってきているもの。自分の住んでいる周辺のものを食べていれば健康な身体で居られる、という教えは“何でも食べたい”“より安く食べたい”という欲の前ではかき消えてしまいます。


そんなことが、もうどのくらい続いているでしょうか?何が“善”か分かっていても、食の提供者はより儲けなくてはならない、食べる側は多少身体に悪くとも安い方がいい、とお金のものさしで全てを決めがちでした。

安かろう悪かろうを求める民でいいのか、安かろう悪かろうを求めるお客を相手にし続けていいのか、ここは腹ぐくりをしなくてはなりません。

今回いただいた、県産品を活かした創作料理が利益を出すにはいくらのコースになるのか?それを聞いて、みんな本当にそれを食べにいくのか?となると・・・・。

やっぱり無理だよね、と結論付けをしないでがんばってみましょう。これだけの食材に恵まれた土地で、首都圏に近いのだから!

忘れられないものになった、おしゃれな干瓢のお料理を旗頭に、栃木県の“食”を磨きましょう。先ずは地元が地元の食を愛すること、強烈なファンになること。

そして都市からの交流を望むなら、「多少高額になっても、新鮮・安心・生活提案があるならばそれを喜んで払う」そういう首都圏のお客様を相手にしたら。

「食」の交流は強いです、それだけに信頼が第一です。上質の交流の見本をつくっていきましょう。"