山のアスパラ

お仕事で

長野県木曽「上の段」と呼ばれる昔風の町並みをワークショップで歩きました。古民家利用のレストラン、無電柱の道、足元燈のついた水路など、かなり整備されています。

ふと、無人売り場で珍しい山菜を見つけました。近くのお宅の奥さんに聞くと「名前はシオデ、山のアスパラっていって、シャキシャキおいしいよ」とのこと。

それからずっと立ち話。こういう時間が旅の醍醐味です。

中仙道・福島宿、木曽川沿いより丘陵の上の方にあるた「上の段」(うえのだん)と呼ばれるそうです。この一角は古い家を改修し、活用しまちづくりの拠点、観光のポイントとして整備されています。

観光のテーマを探し、新しいメニューを考えるワークショップ研修で、長野県各地の方とここを歩きました。

で、見つけたのが「シオデ」1把350円。誰かが早速、手持ちのパソコンで調べます。(最近のワークショップではよくこういうシーンがあります)

「かなり貴重な山菜のようです。タラの芽より珍重されるそうです」など報告が。それより早く、売り場に前庭を提供しているおうちの奥さんがしゃべってくれます。

「サッとゆでて、鰹節とお醤油がおいしいね。マヨネーズでもいいけど。このくらい太くなるのに何年もかかるんだよ。へえ~、長野県内の人、知らないの?」

地元では「シュウデ」とか呼ぶらしい。真っ青な朴の葉で貴重なシオデをくるんである、その売り姿が素敵。知性を感じます。

この山菜は、昼食にも、宿の夕飯にも、確かに貴重品らしくほんのちょっぴり出てきました。なるほどアスパラそっくりの食感が夏にさわやか。

本当はどんぶり一杯食べたいくらいでしたが、‘「山のアスパラ」って食べたことある?木曽で初めて食べたんだけどね’というおみやげ話ができたのが何よりでした。

上の段より降りると、そこにある地酒やさんでは「酒粕漬け」を見つけました。というより、もっとすごい発見は、その酒粕漬けを作るもとの酒粕。

味などはもうついていて、そのままキュウリや白ウリを漬ければ、家庭で酒粕漬けが作れます、というもの。これがなんとなんと2キロくらい入って50円!!!

ワークショップに参加している、男性の観光行政担当者は見向きもしませんが、私は興奮です。今、東京のオーガニックレストランなどでよく酒粕料理が出てきます。健康に良い、新鮮な旨みとして、酒粕は注目素材。この50円が、東京ではどう化けるかわかりません。

漬物だけでなく、ジェラードの隠し味や、クリームチーズとバジルと混ぜてワインにあうディップにとか、考えるだけでワクワクしてしまう。

そんなことに少し気づいて、この酒屋さんが200グラムくらいの小分けにして300円で売ったら、新しい木曽路のお土産になると思うのですが・・。

あまりこんな話ばかりするので、町歩きのあと、みんなで新しい観光メニューを考える時間に「くいしんぼうおばさん向けの観光メニュー」として、食べ物、食べ方をとことん地元の人から学ぶという内容が出てしまいました。

これだけで人を呼ぶには力不足かもしれませんが、先回書いた「ほお葉巻き」「山のアスパラ・シオデ」「酒粕漬けの元50円」で木曽時間がどれだけ表情豊かになるか。さもないことが、結構、力を持つものです。"