キノコのママ

ゆとりある記

東京ミッドタウンで、震災復興支援のイベントが行われています。野菜販売の催しに、福島県西会津のキノコ農家・佐藤昭子さんの姿がありました。

“キノコのママ”と名乗る彼女は、震災後すぐおかゆの缶詰を作り届ける運動を起こし、既に1万個を被災地に直接運んでいます。

その報告をしながらも、キノコ料理を紹介する笑顔は元気一杯。動いている人はいつも強い、と実感です。

4月24日、ミッドタウン広場で彼女のワークショップが始まりました。“キノコのママ”は脱サラで、キノコ農家になりました。早くも10年、シイタケやキクラゲを作っています。

「農業は自然が相手なので、定期収入がないのがつらい。でも、ストレスは全くありませんよ。自然と向き合うことは、自分の心と向き合うことです。そんな暮らしを理解して最近は娘が後を継ぎたいといってくれています」

自己紹介の後、彼女はおかゆの缶詰を取り出しました。ちょうど“キノコのママ”の家の、おじいちゃんが作るコシヒカリをおかゆにして缶詰を作ったのがこの冬のこと。

そこに震災がありました。何かしたいとおかゆの缶詰を作って届けることを思いついたとのことです。「水もない、ガスもない、そんなときはこのプルトップ缶を開ければそのまま食べられますから」と。

支援物資のおにぎりやレトルトは食べにくい、高齢者や赤ちゃんもいます。女川、相馬、南相馬、陸前高田と、直に届けてきました。1缶作るのに200円。これをお金やお米の現物など、さまざまな形で彼女に賛同したたくさんの人が支えています。

彼女のように「やるよ!」と即行動する人と、何か支援したいと思っていた人がつながりました。いつしか彼女は“おかゆのママ”にもなってしまったのです。詳しくは彼女のブログをご覧ください。

西会津キノコのママの絵日記http://plaza.rakuten.co.jp/nishiaizuinaka/

被災地支援の話となるとかなり湿っぽくなるものですが、彼女いわく「東京がもしも被災したら、私はこのお粥をまた必ず届けますからね」と、笑わせてくれます。

続いて、干しシイタケを使った餃子、干しキクラゲを使った焼きソバの料理講習。「乾物野菜はイザっていうときに便利だし、とっても栄養があります」観客を巻き込みながら、冗談を連発しながらの実演はぐいぐい引き込まれます。

「さあ、食べて食べて。作ってみて、簡単よ」私を含め、ムシャムシャと試食をほおばる都会人へ向けて、最後に彼女は締めくくりました。「皆さん、誰かのために役立つ1日1日を過ごしましょう」