善悪同居

ゆとりある記

「被災した人たちを何とか助けたい」といまいっていた人が、数少ないトイレットペーパーを普段より多く買っていきます。

「牛乳もホウレン草もそんなに気にすることない」といいながら、スーパーではつい産地を確認します。

「こんなときはCMが自粛なのね」と感心していたのに、いまや「子宮頸がん健診のCMには飽きたよ~」とぼやきます。

東京人のいまは、そんな感じです。

自動販売機も節電中のものと通常のとに分れ、善悪同居。こうして灯りが消えてみると、いかに自販機がいつも明るいかがわかります。

でも、今は暗いながらも地味に売っている自販機に好感が持てるというもの。いま煌々と光っている自販機は犯罪でしょう。

ティッシュや紙おむつなどの紙製品は一人一つずつ。飲料も。こうして店は貼紙をして必死ですが、買う方が悪玉。一つずつを何軒かを回り買うのですから。

子どもまで動員して一人一つを買い占める主婦は、一体なんでそんなにフガフガと買うのやら。水も、レトルトカレーも、お米も・・・。

ファッショナブルな都心家族が、持ちきれないほどの買い物を抱えて歩く姿には、おぞましいものがあります。従って、スーパーの棚は「えっ?!」という空状態。

節電している店は、普段に比べてどうみても暗いので、閉店しているようにも見えます。その近くに平気でピカピカに明るく化粧品を売っている店などがあると、極端に暗く見えます。で、外に営業中と大書きしたり、あきらめて早仕舞いしたり。

商店街がおそろいでおしゃれな「今できること」「節電」のポップを貼り出しているところもありました。かっこいい!

とことん消費文化が浸み込んだ私たち、こういうときに善悪の選択が肝心なのですが。買いだめや節電、この程度のことを貫けないなんて、被災地の方々へ申し訳ない。と思いながら、我が家周りの商店街で写真を撮ってきたものです。

そのなかで、こんなお店もありました。被災地へのお見舞いメッセージをきちんと出している床屋さん。昔からの地元のお店、中のおじさんが書いたのでしょうか。

被災地への救援物資を、店頭で集めている居酒屋さん。既に被災地に入っている岩手県在住の知り合いのシンガーを通じ、しっかり届けるのだそうです。

貼紙を見た近所の人、道行く人がサツマイモやタマネギ、缶詰、毛布などを運んできます。髪をクリーム色に染めてたくさんのイヤリングをした店のお兄さんが、店そっちのけで荷造り中でした。

和小物を売る店、ここは圧巻でした。和紙にコピーを墨書きしてあります。

「きぼう」「えがお」「おもいやり」「げんき」「みんないっしょ」「ゆうき」「だいじょうぶ」「だんけつ」「まけるな」「しんじましょう あいを」「そしてみんな いきてきた」

店主が、湧き出す想いをメッセージにして貼り出したのでしょう。胸が熱くなりました。

こういうときに、自分の中の善悪が見えます。人間の、そして、店の善悪も。