今昔写真でいっぱい

ちょっとしたこと

東京・西麻布のワインバー、壁に写真のコピーがペタペタ。よく見ると近所の古い写真と同じ場所の今との比較です。「そこの三叉路、昔は何にもなかったんだ~」「50年前、七五三をした神社、変わらないね」。お客たちは、今昔を比べて話題が膨らみます。仕事の愚痴で飲むよりも、時間を行き来して話が弾むお酒もすすむ。いい工夫だと思いました。

「六本木ヒルズができて変わったよね、この辺は」「いや、地下鉄が引けて急に変わったよ」「もともと商店街はにぎやかだったね」「でも、庶民の町だったね」「外国人は多かったな。昔から米軍さんがいるしね」麻布新参者には参考になる話がどんどん出ます。

「でも、小さいときから身近に外国人の子がいるなんて違うね。私なんて千葉の海辺の田舎育ちだから、東京にいってたまに外国人の人を見ると珍しくって見とれて、母に怒られたもの」「この外国人の子、ポーズがきまってるね」「麻布は今も大使館が多くて、外国との交流の町かもね」写真を眺めながら、一見客でも安心して話に入れます。

店の名前は「GONTA」、この今昔写真のアイディアは他のお店でも商店街でもできそうです。

そのうちドアが開いて「氷ちょうだい」。夏のくつろぎウエア、つまりはアッパッパ姿の、お母さんが登場。「あ、この七五三の写真のお母さんだ」「おーい自転車動かしてくれる~」下着姿のお父さん登場。「あ、この昔の写真を撮った人だ」

場所柄、「どんなにすかしたところだろう・・」とびくびく構えていた私は、西麻布の素顔に触れたような気がしてすっかりここが好きにになってしまいました。"