WSの飲食

ちょっとしたこと

ワークショップに、飲み物・食べ物は欠かせません。と、私は思うのですが、いまだに「真面目にまちづくりを考える場で、飲み食いなんて不謹慎だ」というムードがあります。

でも喉はカラカラおなかはぺこぺこで、ウンウンうなって考えたっていいアイディアは出ません。返ってまちづくりを考えることは‘しんどい’という印象だけが残ります。

飲食に一工夫しましょう。例えば、飲み物・食べ物に地域性を出すことです。20年近く前、私は静岡県掛川市の地域づくりを生涯学習として取り組む人づくり塾「とはなにか学舎」のコーディネーターをやっていました。

何でも、○○とは何か?と考える塾ですから、ワークショップに用意する飲み物・食べ物からも「お茶とは何か?お菓子とは何か?」を学んでもらえるようにしました。

地元のお菓子屋さんの名物を毎回食べて、そのうんちくを知るだけでも地域資源の発見になります。正しい煎茶の淹れ方も知ります。

受講生出身のお世話係りが、会場に毎回飲食コーナーをつくりました。お菓子の説明書きが人数分用意され、店の詳しい地図も貼り出され、係りからお菓子の解説発表も。

飲み食いしながらだと、知らない人同士が「おいしいですね」などと打ち解けて話せます。お茶・お菓子コーナーには、いつも自然に人だかりができてサロンのようにもなりました。

気をつけなくてはいけないのは、事務局がただ配給してしまうこと。効率的ですが、これは駄目です。参加者が自分で取りに行き、人の分も手渡ししたりして、「このお菓子知ってるわ~、あのね」なんて身体や口を動かすきっかけにならないと、飲食が学びや繋がり育成の装置になりません。

こういうことを繰り返していくと、そのうち参加者が手作りのお饅頭や、自慢の漬物、季節の野菜などを持ってくるようになります。調理室があるところだと「みんなが来る前に、スイトン煮ておいた」なんてことも起こります。

たかが飲食ですが、飲まず食わずで絞り出すまちづくりより、飲んで食べて湧き出すまちづくりの方が素敵です。お茶とお菓子だけでも、実は大きな展開をつくれるものです。

もちろん私的には、ビールと焼き鳥の方がいいに決まっていますが・・。

写真は、東京・港区、麻布地区総合支所「あざぶ達人倶楽部・中級講座」での、地元老舗のワッフルとお茶。