「和食展」をみて
国立科学博物館での「和食展」に行きました。「朝ごはんだよ」とトーストを、「昼めし食べよう」と蕎麦を、「夕飯は外食」イタリアン、なんていう私たち。食事の代名詞として「飯」という言葉を使っているのに、お米を軽く考えていたようです。あらためて、海藻、キノコ、魚、発酵食品にも感謝して、和食を大事にしなくてはと思いました。若い人の来場が多く、それが意外でした。
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冷たい雨の最終日ですが、朝から人がぞろぞろ。そんなに和食に興味があるのか?と思ったのでした。展示は、日本の水の特性や、お米について、山菜や魚、海藻と、いわゆる和食の素材を追っていきます。
直前に、ご飯一膳には、お米粒が3000個くらい。棚田で米を作る苦労。というようなお話を伺っていたので、そんなすごいもの、お米を食べてきたんだと、臨場感が湧きました。栄養豊富で生命力のある米を食べてきたので、この国、私たちは続いてきているのでしょう。
食べ物についての展示ですから、山菜にしても、古代の食事にしても、老若男女、皆に関係ある事柄です。
海藻は「デザインがきれい」とか、奈良時代の庶民の食事には「ヘルシー」なんて声が上がります。家族連れも若いカップルもそれなりに、楽しめる要素があるのでした。
「え?天ぷらって、江戸時代は屋台で売ってたの?お寿司も?」記念写真を撮りながらも、いろんな発見があります。さらに、米、大豆、などの関係図には今さらながら驚きました。米があってその先に、酒が、餅が、飴が、酢が、みりんが、藁がと広範囲な食文化、活用法があります。大豆があって、味噌、醤油、豆腐、湯葉、油、納豆などがある。これらが相互に繋がって和食の中心になっている。この繋がりこそが和食なのでしょう。米と大豆が無かったらどんなに寂しい食生活になるのでしょう、と思いました。
展示はあまりに広範囲で内容も濃く、ここで詳細紹介まではできませんが、みているうちにじわじわと和食のすごさを感じるに至りました。それも、高級料亭の日本料理ではなく、普段の暮らしの中でのものです。旬の食材を生かす、素材を大事にする、季節や行事を取り込んで、ご飯を軸にしたもの。お母さんやお父さんが、当たり前に作ってきた、食べ物、食文化です。
各家、各地域、各季節、多様な表情は、画一化されたファストフードとは全く違います。
大根だけでもこんなに種類がある、という展示を前に、親子が「これ、いつも食べてる」「こんな大根あるんだ」「今度この大根食べてみよう」「タクワンつけてみたら」「大根は味噌汁だな~」「葉っぱ炒めたの好きだよね」などと、大根話が膨らみます。なんだかうれしくなりました。ハンバーガーで、こんな会話が出るでしょうか?
マックもスシローもサイゼリアも好きだけど、家ご飯、地域の味を、もっともっと大事にしようと思います。