温かなキャンドルナイト

ちょっとしたこと

クリスマスの夜、手作りの灯りの催しを見る機会がありました。小さな川べりに、空き瓶やペットボトル利用のキャンドルが並びます。今どきはやりの電飾イルミネーションではありません。カラフルな素人絵の描かれた瓶のなかは、ロウソク。自治会のおじさま達が、寒風のなか、消えそうなロウソクの世話をし続けます。自分たちで地域を明るくする!その気概に、心が温かになりました。 

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おなじみの雲仙市です。千々石という海辺のまち、山側には棚田が広がるところ。「スーパーの裏の方、小さな川があって、行けばわかりますよ」と地元在住の役所の方にお声掛けいただき、ご案内いただいてうかがうことができました。

スーパー横に川があり、その横の道はキャンドルナイトの花道のように、ずらりと灯りが並んでいます。人影があるところまで行くと、カラフルな灯りが足元に。夕方5時を過ぎれば田舎は真っ暗、その中でビアジョッキがきらめきます。

川向うにはペットボトルにロウソクを仕込んだ灯りが、ツリーのように吊るされています。風にゆらゆら美しい!これを造るのは大変だったでしょう。この時点で、もはや手がかじかんで、写真を撮るのが難しい。さ、寒い!

灯りを立ててツリー型にした、その向こうではこの日の月が、灯りの仲間入りしています。

海苔の瓶や、コーヒーの空き瓶、そこにカラフルな絵が描かれ、ロウソクが揺れています。それだけのことなのですが、訪れた人が笑顔になる。光が家族のほおを照らして、幸せなファミリー。今年はいろいろあったでしょう、でもこんな灯りを眺めてにっこりできれば、良しとしましょう。そう思えてきます。

「千々石の上塩浜の自治会、手作りでキャンドルナイトやってるよ」と昨年教えてくださった、ジャガイモ農家の青年。「スロー動画を撮るんだ~~~」とトナカイの絵に集中です。

この女性は、誰に写真を送るのでしょう?インスタにあげるのでしょうか?都会のイルミネーションのインスタはさんざんアップされていますが、こんな素朴な灯りはなかなかありません。これこそインスタ映えですね。

自治会では、ほんの5人くらいでこの催しを続けているそうです。風で揺らぐロウソクを消さないように、チャッカマンをもって嬉々として世話をするおじ様たち。労力もお金も相当つぎ込んでいるはずです。こういう方たちのおかげで、遠くに住む私まで、素敵な思い出を作れます。ありがたいな~。

寒いだろうからと近くの建物にご案内いただき、毎月皆さんで発行しているという「みんなのひろば上塩浜 かわら版」のファイルを見せていただきました。第一号は平成21年。キャンドルもずっと続けている活動だそうです。「入場料とったり、せめて活動への募金などは」と私が野暮なことを聞くと、「そんなことのためにやってるんじゃないよ」と地元の言葉でおっしゃいます。

六本木・けやき坂のイルミネーションや東京駅のイルミネーションなど、あちこちの灯りを観てきましたが、今年の灯りは温かい。年末に、地域おこしの原点のような灯りを観ました。

来年への灯りです。皆さま、良いお年を。